SSブログ

北村薫さん「ひとがた流し」 [本☆☆☆]


ひとがた流し (新潮文庫)

ひとがた流し (新潮文庫)

  • 作者: 北村 薫
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2009/04/25
  • メディア: 文庫



「月の砂漠をさばさばと」の続編です。主人公だったさきちゃんは9歳だったので、約10年後の話になります。とはいえ、大人も読める子供向けだった「月の砂漠を~」に対して、本作は大人向けの作品となっています。

胸を衝かれた沁みるような作品でした。

学生時代の同級生だった千波、牧子、美々は、疎遠になっていた時期を経て、40代を迎えた今は車で行き来できる距離に暮らしています。
冬から翌年の秋までの季節を、彼女たちとその家族の日々の生活で起こった出来事を描いています。

千波はテレビ局のアナウンサーとして朝のニュース番組のメインキャスターに抜擢されるなどキャリアを積み上げています。作家の牧子は、娘のさきの大学受験を気にかけています。美々は再婚相手でありカメラマンである類のマネジメントをしています。
章ごとに、彼女たちを中心に、美々の夫の類や娘の大学生の玲、無事大学生となったさきの視点から物語が語られます。
なにげない日常、心の痛み、身体を蝕んでいく病…。

抑えた筆致で描かれているせいか、号泣とはなりませんでしたが友を無くす痛みを強く感じました。そういう友がいることの大事さも同時に感じました。
また、性別も年齢も異なる人たちが損得勘定を超えてお互いに支えたいと強く願うことに温かな気持ちになりました。自分もそうありたいと思いました。

新聞連載時にはおーなり由子さんの挿絵があったんですね。「月の砂漠を~」で物語とともに挿絵にほっこりとしたので、本作でもできれば載せてほしかったです。

nice!(1)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 1

コメント 2

めいさん

はじめまして!
「ひとがた流し」は読んだのですが、「月の砂漠をさばさばと」は読んでませんでした。
続編だったんですね。。。
それぞれがそれぞれを思う気持ちが、とてもあたたかく感じる本でした。
by めいさん (2009-06-15 01:00) 

とも〜る

nice! ありがとうございます。
ぜひ「月の砂漠をさばさばと」も読んでみてください。別のあたたかさを感じるんじゃないでしょうか。
by とも〜る (2009-06-15 08:57) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。