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辻村深月さん「凍りのくじら」 [本☆☆☆]


凍りのくじら (講談社文庫)

凍りのくじら (講談社文庫)

  • 作者: 辻村 深月
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2008/11/14
  • メディア: 文庫



第147回直木三十五賞を受賞されたということで、初めて読んでみました。
分厚さにひるみましたが、読みやすくて、読了まで時間はかかりませんでした。

芦沢理帆子は高校2年生です。藤子・F・不二雄をこよなく愛するカメラマンの父の芦沢光は5年前に失踪、母は病気のため長期の入院中です。昼は進学校で、夜は繁華街で過ごす理帆子は大勢の友人に囲まれながらも孤独を感じていました。そんな理帆子の前に別所あきらという上級生が現れます。彼の飾らない空気感のような優しさが理帆子の心を少しずつ癒していきます。しかし理帆子に再接近する元カレによって事態は思わぬ方向へ進んでしまいます。

自意識過剰や自己顕示欲の発露といったものは青春小説の王道ですが、主人公の理帆子は正直お付き合いしたくないタイプですね。(もちろん内面を隠しているので不遜な意見など読み取れはしないのですが)
自分が美人で頭がいいということをしっかり認識しているので、クラスメイトや遊び仲間に対するレッテル貼り(これ自体は誰もがしていることです)が容赦ないです。不遜といってもいいかもしれません。元カレに至っては実験動物扱いです。
そういった理帆子の視点で物語が進められるので、反感は募るばかり(笑)。

それでも途中で読むのをやめなかったのは意地ではなく、物語の行方が気になったからです。
空のドンキホーテの袋の示す意味は。郁也少年の抱えるものとは。別所あきらとは何者か。

途中でオチがわかってしまうのはすごく残念ですが、それでも「テキオー灯」にはうるっときちゃいました。

なによりドラえもんに対する敬意が感じられ、ドラえもんで登場するアイテムが作中でうまく使われています。そういった観点で読むのも面白いかもしれません。

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