三崎亜記さん「ターミナルタウン」 [本☆☆]
かつては栄華を誇ったものの、時流から取り残された事物を悲哀とともに描いた三崎さんらしい作品です。
まったく新しい「町興し」小説、ここに誕生。
ターミナルタウンとして鉄道とともに発展してきた町、静原町。
しかしあるとき、乗り換え路線の廃止により、ほとんどすべての列車が、この町を通過することになった――。
鉄道に忠誠を誓った町が、鉄道を失ったとき。そこには何が残るのか。
凋落したこの町に、人を呼び戻すことはできるのか。
さまざまな人の思惑が交錯する、誰も見たことのない「町興し」小説。
(出版社HPより)
ターミナルタウンだった町が一転、通過駅となったことで「タワー通り商店街」は活気を失います。通勤客を当て込んで作った「光陽台ニュータウン」は廃墟となります。
タワー管理公社に勤務する影を失った響一や、鳴先隧道トンネルで500名の乗客と共に消えた下り451列車消失事件、首都から8kmの長さで続くホーム、種からトンネルを育てる「隧道士」など三崎さんの構築する世界を堪能できます。
ただ、最近の作品を読むたびに。三崎さんの特徴である不条理さが薄まってきている気がします。
デビュー作から作品世界を楽しみにしていた身としては残念です。
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