名取佐和子さん「金曜日の本屋さん」 [本☆☆]
タイトルに惹かれて読んでみました。
なんかいろいろと物足りない読後感が残りました。
「読みたい本なんか見つからない」「マーロウにはまだ早すぎる」「僕のモモ、君のモモ」「野原町綺譚」の4編が収められています。
ある日、「北関東の小さな駅の中にある本屋は“読みたい本が見つかる本屋”らしい」というネット上の噂を目にした大学生の倉井史弥。病床の父に以前借りた本を返すように言われたが、じつは失くしてしまっていた。藁にもすがる思いで、噂の駅ナカ書店〈金曜堂〉を訪ねる彼を出迎えたのは、底抜けに明るい笑顔の女店長・南槇乃。倉井は南に一目惚れして――。人と本との運命的な出会いを描くハートウォーミングストーリー、開店!
(出版社HPより)
「読みたい本が見つかる本屋」という触れ込みには若干首をひねりたくなります。
作中にでてきた『白鳥の歌なんか聞えない』『長いお別れ』『モモ』『家守綺譚』どれも既読で、ちょこっと嬉しくなりました。
「読みたい本が見つかる本屋」という設定でしたが、膨大な量の本を収める書庫はどこに?という疑問の答えは非現実的でした。だって、東京から電車で2時間以上かかる場所に××ってコスト的に見合わないです。戦時中の防空壕ならともかく。
まあ、こんな場所に書庫があったらひきこもってしまいそうなほど魅力的ですが。
探している本を通して、依頼者の抱える悩みを解決する━━ビブリア古書堂シリーズみたいな━━と思っていたら、少し違いました。
その意味ではものごとが内輪で収束してしまうところが残念でした。
ふと思ったんですが、1・2年が都内で、3・4年が北関東のキャンパスって学校ってあるんですかね。逆ならあるような気がします。交通の便の悪い場所から就活とか大変そうです。
最初からシリーズ化を狙っているためか、いろんな謎が明かされないままでした。同じような本はたくさんあるのに、なんだか「出し惜しみ」感を強く感じるのはなぜだろう。
うーっ、もやもやする。
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