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加藤廣さん「利休の闇」 [本☆]


利休の闇 (文春文庫 か 39-12)

利休の闇 (文春文庫 か 39-12)

  • 作者: 加藤 廣
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2017/10/06
  • メディア: 文庫



秀吉と利休、二人の間の「茶の湯」の考え方の違いが次第に亀裂を生んでいく過程を描いた作品です。

利休vs.秀吉、最悪の結末までの真実とは一体――。
「信長の棺」著者が戦国最大にして最後の謎に挑む!
茶聖と称される千利休は、天下人となった豊臣秀吉の寵愛をなにゆえ受けたのか? しかし、最終的には秀吉から切腹を命じられ劇的な結末となったのはなぜか――井上靖の『本覚坊遺文』、野上弥生子の『秀吉と利休』、山本兼一の直木賞受賞作『利休にたずねよ』まで、日本人にとってこの出来事は永遠の謎であった。
戦国歴史ミステリーとして小泉純一郎元総理が絶賛、大ベストセラーとなった『信長の棺』にはじまる本能寺三部作ほか、独自の史観と圧倒的筆力で知られざる歴史の真実を掘り起こしてきた著者は、この「秀吉と利休の間で本当に何が起こっていたのか」を解き明かすべく、膨大な史料を読み込み、今回、まったく新しい解釈を読者に提示する。
明日をも知れぬ戦国時代、信長と武将にとって「茶」とは何だったのか? 天下を治めた秀吉がそれに変化を求めたがゆえの黄金の茶室と北野大茶会の理由とは? そしてそれを見抜くことのできなかった利休の誤算とは――84歳の著者が作家執念で挑んだ圧巻の傑作ミステリー!
(出版社HPより)

信長が天下を窺う時代、茶事が政治と結びついていきます。
信長に対しての茶人としては3番手だった利休(宗易)と、茶事のしきたりを学びたい秀吉(藤吉郎)との出会いがすべての始まりでした。

やがて秀吉が天下人への階段を駆け上がっていくのと同時に、茶の師匠である利休の権威もあがっていきます。
そして、次第に秀吉と利休の茶に対する考え方に乖離が生まれてきます。

基本的に利休目線で物語が進むせいか、周囲の人物たちの内面が描き切れていないように思いました。

それが逆に、秀吉と利休のすれ違いと意思疎通の欠如が生んだ亀裂が大きくなっていく様を感じることができます。
お互いが意固地になったのは権力者となった秀吉の傲慢さと、茶の道を究めようとする利休の頑なさゆえでしょうか。

権力者にすり寄り永らえるのがいいのか、我が道を進んだ挙句に滅びるのか、美学や生き方の問題でしょうか。


しかし、自慢ともとれる後書きに読後感の余韻が消し飛んでしまいました。

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