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乾緑郎さん「機巧のイヴ」 [本☆☆☆]


機巧のイヴ (新潮文庫)

機巧のイヴ (新潮文庫)

  • 作者: 乾 緑郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2017/08/27
  • メディア: 文庫



SF時代小説でありながら、伝奇あり忍者ものあり恋愛ものありと盛り沢山です。

「機巧のイヴ」「箱の中のヘラクレス」「神代のテセウス」「制外のジェペット」「終天のプシュケー」の連作5編が収められています。

天府城に拠り国を支配する強大な幕府、女人にだけ帝位継承が許された天帝家。二つの巨大な勢力の狭間で揺れる都市・天府の片隅には、人知を超えた技術(オーバーテクノロジー)の結晶、美しき女の姿をした〈伊武(イヴ)〉が存在していた! 天帝家を揺るがす秘密と、伊武誕生の謎。二つの歯車が回り始め、物語は未曾有の結末へと走りだす――。驚異的な想像力で築き上げられたSF伝奇小説の新たな歴史的傑作、ここに開幕!
(出版社HPより)

江戸幕府に置き換えるとイメージしやすいです。

闘蟋という闘牛や闘犬のコオロギ版に精密な機巧コオロギが紛れ込んでいたというところから始まり、天才機巧師・釘宮とその娘の伊武の登場とよどみのない展開にすいすい読み進めます。

構成も巧みです。
1話目、2話目と世界観や天府の文化、習俗などが説明され、天府で暮らす釘宮と伊武が描かれます。
3話以降でスケールが壮大になります。
幕府と天帝家の駆け引き、謀略。貝太鼓役(御庭番みたいな?)や忍者集団との暗闘。更には伊武にまつわる謎と天帝家の秘密が解き明かされます。

これだけ詰め込んでも「ごった煮」感がありません。
むしろ初めに思っていた疑問が解消され、伏線が回収されていきます。

表紙のイメージと違って人間味のある伊武が可愛いです。(人間になりたくてお百度参りをするなんて!)


続編も出ているそうで、楽しみです。

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