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米澤穂信さん「真実の10メートル手前」 [本☆☆☆]


真実の10メートル手前 (創元推理文庫)

真実の10メートル手前 (創元推理文庫)

  • 作者: 米澤 穂信
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2018/03/22
  • メディア: 文庫



ジャーナリスト 太刀洗万智を主人公とした連作短編です。
さよなら妖精』ではサブキャラだった彼女、正直覚えていませんでした[ふらふら]

「真実の一〇メートル手前」「正義漢」「恋累心中」「名を刻む死」「ナイフを失われた思い出の中に」「綱渡りの成功例」の6編が収められています。

高校生の心中事件。二人が死んだ場所の名をとって、それは恋累心中と呼ばれた。週刊深層編集部の都留は、フリージャーナリストの太刀洗と合流して取材を開始するが、徐々に事件の有り様に違和感を覚え始める……太刀洗はなにを考えているのか? 滑稽な悲劇、あるいはグロテスクな妄執──己の身に痛みを引き受けながら、それらを直視するジャーナリスト、太刀洗万智の活動記録。
(出版社HPより)

ジャーナリストとはどうあるべきか、を太刀洗は常に自問自答しているようです。

事件があって、取材をする太刀洗がインタビューを通じて隠された真相に迫る物語はミステリとして読み応えがあります。些細な違和感や発言の齟齬を通じて当事者が隠そうとしているものに、通常とは異なる視点で太刀洗が深く切り込んでいく過程は小説を読むという楽しみがあります。

その一方で報道することの意義・意味・影響といったジャーナリストの在り方と、太刀洗のスタンスから報道機関のありようというものに対する問題提起にも取れました。

怜悧な印象からクールビューティと評される太刀洗のイメージを想像してしまいました。

シリーズ続編の『王とサーカス』も楽しみです。(時系列ではこちらが先のようなんですが、まだ文庫化されていない)

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