津村記久子「この世にたやすい仕事はない」 [本☆☆]
お仕事小説と呼ぶには特殊すぎる…そこが津村さんの作品の特長なんでしょう。
「みはりのしごと」「バスのアナウンスのしごと」「おかきの袋のしごと」「路地を訪ねるしごと」「大きな森の小屋での簡単なしごと」の5編が収められています。
「一日コラーゲンの抽出を見守るような仕事はありますかね?」ストレスに耐えかね前職を去った私のふざけた質問に、職安の相談員は、ありますとメガネをキラリと光らせる。隠しカメラを使った小説家の監視、巡回バスのニッチなアナウンス原稿づくり、そして……。社会という宇宙で心震わすマニアックな仕事を巡りつつ自分の居場所を探す、共感と感動のお仕事小説。芸術選奨新人賞受賞。
(出版社HPより)
職安で紹介されるありそうでなさそうな仕事を主人公がひたむきに向き合います。
前職で燃え尽き症候群(バーンアウト)してしまった主人公は、仕事にのめり込むことに対して腰が引けています。けれども真面目さ(と恐らくは優秀さ)ゆえに簡単な短期仕事でもいつしか、職場に「爪痕」を残すような仕事をします。
登場する仕事仲間が皆好意的で、仕事の内容や環境や給料も大事だけど、一番重要なのは人なのかなと思わされた作品です。
2019-12-09 08:04
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