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本多孝好さん「dele」 [本☆☆]


dele (角川文庫)

dele (角川文庫)

  • 作者: 本多 孝好
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2018/05/25
  • メディア: 文庫



依頼人の死後にリモートで依頼者の指定するデジタルデータを消去するという今っぽいサービスをめぐるミステリ&ヒューマン連作短編集です。
MOMENT』にどこか通じる作品です。

「ファースト・ハグ」「シークレット・ガーデン」「ストーカー・ブルーズ」「ドールズ・ドリーム」「ロスト・メモリーズ」の5編が収められています。

【あなたの死後、不要となるデータを削除いたします。】
罪の証。不貞の写真。隠し続けた真実。
『dele.LIFE』で働く圭司と祐太郎の仕事は、秘密のデータを消すだけ――のはずだった。
あなたの記憶に刻まれる、〈生〉と〈死〉、〈記憶〉と〈記録〉をめぐる連作ミステリ!

『dele.LIFE(ディーリー・ドット・ライフ)』。
真柴祐太郎がその殺風景な事務所に足を踏み入れたのは、三ヶ月ほど前のことだった。
所長であり唯一の所員でもある坂上圭司いわく、「死後、誰にも見られたくないデータを、その人に代わってデジタルデバイスから削除(delete)する。それがうちの仕事だ」。
誰かが死ぬと、この事務所の仕事が始まるのだ。
新入りの祐太郎が足を使って裏を取り、所長の圭司がデータを遠隔操作で削除する。
淡々と依頼を遂行する圭司のスタンスに対し、祐太郎はどこか疑問を感じていた。
詐欺の証拠、異性の写真、隠し金――。
依頼人の秘密のファイルを覗いてしまった二人は、次々と事件に巻き込まれる。
この世を去った者の〈記録〉と、遺された者の〈記憶〉。
そこに秘められた謎と真相、込められた切なる想いとは。

≪dele=ディーリー。校正用語で「削除」の意。≫
(出版社HPより)

足が悪く車椅子生活の坂上圭司に代わって、アシスタントとして雇われた真柴祐太郎が依頼人の死を確認し、それを受けて圭司が依頼人の指定したデータを削除するという役割分担になっています。

所長の坂上圭司が機械的に依頼人のパソコンやスマホにアクセスしてデータを削除するというスタンスに対して、新入りの真柴祐太郎は遺族など残された人たちにとって必要なものではないかと考えて背景を探ろうとします。

様々なデータが遺されていて、依頼人の想いが明らかにされるとともに残された人たちの想いもまた描かれます。
テーマに比べて重くならないのはデジタル(圭司)とアナログ(祐太郎)のバランスがいいんでしょう。

シリーズ化されているので、続編も楽しみです。圭司や祐太郎の過去なども明らかにされるのでしょう。


絲山秋子さんの『沖で待つ』も同じようなシチュエーションでしたが、隔世の感があります。

テレビドラマがやってたんですね。知らなかった。

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