松尾由美さん「雨恋」 [本☆☆]
ミステリとファンタジーと恋愛が上手くミックスされた作品です。
ある晩、マンションの居間で彼女は語りだした。「わたしは幽霊です。そういうことになるんだと思います」。OL・小田切千波は自殺したとされていた。だが、何者かに殺されたのだ、と訴えた。ぼくは彼女の代わりに、事件の真相を探ることにする。次々と判明する驚愕の事実。そしてぼくは、雨の日にしか会えない千波を、いつしか愛し始めていた。名手が描く、奇跡のラブ・ストーリー。
(「BOOK」データベースより)
主人公の沼野渉が海外勤務の叔母に留守番を頼まれて住むことになったマンションに、雨の日にだけ現れる幽霊━千波━、それに気付くのが飼い猫たちという導入部がいいです。
足から次第に姿を現す幽霊って…日本のそれの「しきたり」の逆をいく展開に笑ってしまいました。
それが渉にもたらす「効果」にも思わず笑ってしまいました。
惹句ではラブストーリーとなっていますが、ミステリ色の濃い作品だと思います。恋愛要素もなくはないのですが、薄いです。
ラストが切なく温かいです。思わずうるっときました。
ただ、千波の死の真相については中盤辺りで見当がついてしまいました。ミステリ色があったのに、そこだけが残念。
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