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吉田篤弘さん「おやすみ、東京」 [本☆☆]


おやすみ、東京 (ハルキ文庫)

おやすみ、東京 (ハルキ文庫)

  • 作者: 吉田 篤弘
  • 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
  • 発売日: 2019/09/14
  • メディア: 文庫



吉田さんらしい不思議な読み心地の連作短編集です。

「びわ泥棒」「午前四時の迷子」「十八の鍵」「ハムエッグ定食」「落花生とカメレオン」「ベランダの蝙蝠」「羽根の降る夜」「ふたつの月」「星のない夜」「青い階段」「星は見ている」「最後のひとかけら」の12編が収められています。

この街の夜は、誰もが主役です。夜空色のタクシー、よつかどの食堂、倉庫番の元バーテンダー、月夜のびわ泥棒――都会の夜に魔法をかける、幸福な長編小説!
(出版社HPより)

初めは登場人物がバトンを渡すように短編が続いていくチェーン・ストーリイかと思いました。
読み進めるうちに登場人物たちが東京の夜を舞台に有機的に繋がっていく物語だったと理解しました。

映画監督の思い付きの小道具を深夜に探す調達屋、元バーデンダーの倉庫番、タクシーの運転手、電話相談室のオペレーター、探偵、電話を回収する女、深夜食堂の4人の店員などが過ごす東京の夜━1時頃━が描かれます。

なにかを探していて、誰かに出会い、そこからの繋がりが生まれ━とまるで脳細胞が繋がるように有機的な拡がりが物語の中で展開していきます。たまに交差したりしてささやかなネットワークを楽しむことができます。

なんともいえず穏やかな気分にさせてくれる物語です。

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