波多野聖さん「ダブルエージェント明智光秀」 [本☆☆]
元ファンドマネージャーがビジネスマン目線で描く歴史小説です。
堺屋太一さんとか幸田真音さんなどの系譜でしょうか。
実力主義の信長家臣団の中でも、明智光秀の出世は異例だった。現代でいうと、五十歳で三菱商事に課長待遇で入社し、三年後には筆頭取締役に昇進するようなものだ。諜報、監視、駆け引き、裏切り……。織田信長と足利義昭―。二人の主君に同時に仕えた男は、情報、教養、そして、したたかさを武器に、いかにして出世の階段を駆け上がったのか。
(出版社HPより)
信長と光秀の関係性をビジネスになぞらえて進めるのは新しいな、と思いましたが、光秀が信長への叛意を抱くきっかけは弱いかなと思いました。
本当に光秀が意識していたかどうかは不明ですが、意思疎通を密にして状況分析から常に先手先手を打つというのはなかなかできないことでもあります。
それを光秀ができていて結果を出していたからこそ、合理的だったといわれる信長が古参の家臣を差し置いて取り立てたというのは見方としてはありなのかなと思います。
けれど合戦の場面になると途端に漫画のようなセリフになってしまって安っぽく感じました。そこが残念です。
しかし、今どきのサラリーマンはビジネス(歴史)小説を読むんでしょうかね。
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