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津村記久子さん「浮遊霊ブラジル」 [本☆☆]


浮遊霊ブラジル (文春文庫)

浮遊霊ブラジル (文春文庫)

  • 作者: 津村 記久子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2020/01/04
  • メディア: Kindle版



津村さんらしい「ゆるさ」がいいです。けれども描かれた世界には奥深さがあるように感じます。

「給水塔と亀」「うどん屋のジェンダー、またはコルネさん」「アイトール・ベラスコの新しい妻」「地獄」「運命」「個性」「浮遊霊ブラジル」の7編が収められています。

川端康成文学賞受賞作「給水塔と亀」収録、紫式部文学賞受賞の短編集。
筆者の卓越したユーモアと、人間観察力がいかんなく発揮された数々の短編をおさめた本作は、物語を読む楽しみを存分に味わえる充実の一冊。

楽しみにしていた初の海外旅行を前に亡くなってしまった主人公は、人に憑くスキルを手に入れ、体を乗り換えて、様々な土地を旅していくが、なぜかブラジルにたどりつき……表題作「浮遊霊ブラジル」
ドラマは毎日三本、小説は月に十冊。サッカーやツール・ド・フランスから人生相談まで、生前、虚実の物語をさんざん食い散らした「私」が落ちたのは「物語消費しすぎ地獄」。そこで課せられる世にも恐ろしい試練とは?――「地獄」
どんな土地勘のない場所でも最悪のシチュエーションでも、必ず道を尋ねられてしまうのはなぜ?――「運命」
定年を迎え、海と製麺所のある故郷に帰った男。クロスバイクを手に入れ、亀を預かり、静謐で新しい人生が始まる。――「給水塔と亀」(2013年川端康成文学賞受賞作)
(出版社HPより)

眉間に皺を寄せて━━という純文学のイメージとは程遠いのですが、生きること、死ぬこと、そしてなにより(どんな不条理なことでも、死んでからも!)出来事を楽しむことが伝わってきます。

もがかず、受け入れて、愉しむ。なかなかできることじゃないんですけどね。
そうありたいなと思わせてくれる読後感でした。

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