喜多喜久さん「科警研のホームズ」 [本☆☆]
初読みの作家さんです。
「科警研のホームズ」と呼ばれる大学准教授の安楽椅子探偵ものです。とはいっても出番はほんのちょっと。
「プロローグ」「残光のメッセージ」「楽園へのナビゲーター」「惜別のロマンチシズム」「伝播するエクスタシー」の4編が収められています。
科学警察研究所・本郷分室にやってきた三人の研修生たちは、科警研の仕事に興味を示さない室長・土屋の態度に困惑する。かつての彼は科警研の研究室長を務め、鋭い洞察力と推理の切れ味で、警察関係者から「科警研のホームズ」と称されていたらしいが…。土屋にやる気を取り戻させるため、そして自分たちの成長のため、三人は科警研の所長・出雲から持ち込まれる事件の調査に邁進する。
(「BOOK」データベースより)
科捜研はテレビドラマにもなっていたので知っていましたが、科警研は知らなかったです。
科捜研は実際の捜査の分析などを現場で行うのに対して、科警研は捜査の方法論や新しい分析・解析技術の研究を行うんだそうです。
そんな科警研の「本郷分室」に半年間の研修生としてやってきた3人の若者が科学的な分析で難事件を解決していきます。
化学的分析に強い北上、データ解析に長けた伊達、生物的鑑定が得意な安岡というキャリアも得意分野も性格も異なる男女が科学的捜査を行うのですが、「本郷分室」設立には科警研所長の出雲のある目的があったのです。
それは「科警研のホームズ」と呼ばれた土屋を科警研に呼び戻すためでした。
迷宮入りかと思われた事件に3人が科学的捜査で挑むのですが、壁に突き当たり、室長の土屋によるアドバイスで解決の糸口を掴みます。
その意味では安楽椅子探偵以前かもしれません。
化学はまったく疎いんですが、分かりやすいように説明されていますのでつかえることもありません。
トリックも無理のないもので「なろほどー」と思わせされるものでした。
3人の研究員たちもそれぞれキャラが立っていて、自然と役割分担ができあがり、成長ストーリイも楽しめます。
続編が楽しみです。
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