碧野圭さん「菜の花食堂のささやかな事件簿 きゅうりには絶好の日」 [本☆☆]
菜の花食堂のささやかな事件簿 きゅうりには絶好の日 (だいわ文庫)
- 作者: 碧野 圭
- 出版社/メーカー: 大和書房
- 発売日: 2017/02/11
- メディア: 文庫
シリーズ第2弾です。
今回も料理(食材)に絡めた「日常の謎」系ミステリが展開されます。
「きゅうりには絶好の日」「ズッキーニは思い出す」「カレーは訴える」「偽りのウド」「ピクルスの絆」の5編が収められています。
「このあたりでは評判らしいですよ。ちょっとしたヒントから真実を見抜く、日本のミス・マープルだって」グルメサイトには載っていない、だけどとっても美味しいと評判の菜の花食堂の料理教室で靖子先生が教えてくれるのは、ささやかな謎と悩みの答え、そしてやっぱり美味しいレシピ。いつも駐車場に停まっている赤い自転車の持ち主は誰?野外マルシェでご飯抜きのドライカレーが大人気になったのはなぜ?小さな料理教室を舞台に『書店ガール』の著者が描き出す、あたたかくてほろ苦い大人気日常ミステリー、第二弾!
(「BOOK」データベースより)
本筋とは関係ありませんが、靖子先生が作る野菜たっぷりのレシピは参考になります。
おいしそうでもあるんですよね。
今回も靖子先生の鋭い洞察力や経験に即した対応で事件が解決します。それでいて穏やかで包容力があるのは理想的な歳の取り方です。
最終章では靖子先生自身の過去や問題が表れます。アシスタント役の優希が活躍します。
靖子先生と優希の信頼関係も強くなったようです。
ただ、「偽りのウド」「ピクルスの絆」はあれ?と思っているうちに終わってしまった印象です。他の3作に比べるとクオリティが…。書下ろしってそんなに時間的余裕がないものなんでしょうか。
畠中恵さん「うずら大名」 [本☆☆]
「うずら大名」というインパクトのあるタイトルでしたが、軽い作風に反してなかなか重いテーマでした。
「うずら大名」「御吉兆聞こえず」「大根一万本」「書き付けの数字」「佐久夜の初泳ぎ」「江戸の合戦」の連作6編が収められています。
若き日に同じ道場に通った貧乏武家の部屋住み・有月と百姓の三男・吉也。金もなく、家にも町にも居場所がなく、この先どうやって生きていけばいいのかと悩む日々を共に過ごしてきた。
時は流れ、吉也は東豊島村の村名主となり吉之助と改名。ある日、大名家へ向かう途中に辻斬りに襲われるが、「御吉兆ーっ」という鳴き声とともに飛び込んできた白い鶉とその飼い主であるお武家によって命を救われる。
お武家の正体は、十数年ぶりに再会した有月だった。涼やかな面で切れ者、剣の腕も確かな有月は大名を自称するが、どう見ても怪しく謎めいている。そんな有月と勇猛果敢な鶉の佐久夜に振り回されながら、吉之助は江戸近隣で相次ぐ豪農不審死事件に巻きこまれていく。一つ一つの事件を解決するうちに、その背景に蠢く、幕府を揺るがす恐ろしい陰謀が明らかになり――。
(出版社HPより)
現代以上に格差の大きい江戸時代を舞台にしていますが、境遇の違いに羨望の念を抱くってのは現代風だなあ、と思いました。
謎解きという印象はありませんでしたが、一つの事件を解決すると、次の問題が見えてきて、最終的に全体の構図が見えるというなかなか面白い構成になっていました。
一番は鶉の佐久夜の賢さでしょう。巾着鶉、見てみたいです。
大倉崇裕さん「樹海警察」 [本☆☆]
逆境に置かれた警察官たちが樹海で発生した殺人事件を解決していく連作短編集です。
「栗柄慶太の暴走」「桃園春奈の焦躁」「明日野裕一郎の執念」の3編が収められています。
初任幹部科教育を終え、警部補になった柿崎努は、山梨県警上吉田署という辺鄙な場所、しかも聞いたこともない部署へ配属となった。署長に挨拶も行かず署員からおもむろに渡されたのは、カーキグリーンの軍用ベストやズボン、そして登山靴──。さらに連れて行かれた場所はなんと樹海……!? 栗柄巡査、桃園巡査、そして事務方の明日野巡査長と共に、樹海で見つかった遺体専門の部署・地域課特別室に勤務することに……! 腐乱死体から事件の匂いをかぎ取る!! 書き下ろし樹海警察小説登場。
(出版社HPより)
柿崎努のキャラが被りますね。
『問題物件』の犬頭光太郎とか。
四角四面な柿崎の言動に、それほどおかしみは感じないんですが。
主要キャストの柿崎、栗柄、桃園、明日野(あけびの)他にも制服巡査の万剛、市子野(いちごの)、水家(すいか)、梨本、尾和元(びわもと)とフルーツバスケット状態(笑)
上司を上司と思わない部下たちのやりたい放題に翻弄される柿崎ですが、やがて彼らの人となりや背景を知るにつれて受けて入れていきます。
樹海で見つかった遺体を自殺と処理したい刑事と、事件性を見つけて犯人逮捕にいたる地域課特別室の面々。ミステリとしては薄めに思います。かといって警察小説ともいえない気がします。
テンポもよく、読みやすいです。
シリーズ化されるかな。
安部龍太郎さん「冬を待つ城」 [本☆☆]
骨太な歴史小説です。
途中から高橋克彦さん小説のような展開に。奥州(東北)がそうさせるのか?
小田原の北条氏を滅ぼし、天下統一の総仕上げとして奥州北端の九戸城を囲んだ秀吉軍。その兵力はなんと15万。わずか3千の城兵を相手に何故かほどの大軍を擁するのか。その真意に気づいた城主九戸政実は、秀吉軍の謀略を逆手に取り罠をしかける。あとは雪深い冬を待つのみ――。跳梁する間者、飛び交う密書、疑心暗鬼、そして裏切り。戦国最後にして最大の謀略「奥州仕置き」を描く歴史長編。
(出版社HPより)
九戸4兄弟のキャラクターは絵に描いたようなステレオタイプに思えます。
智勇兼ね備えた嫡男の政実、豪勇の次男 実親、ひねくれ者の三男 康実、そして僧から還俗した四男の政則の視点で物語が語られます。
秀吉の行った「奥州仕置き」の真の目的を見切った政実による反乱は単に北東北の勢力争いにとどまらず、秀吉が全国統一後になにを目指しているのかを認識していたという前提で進められる物語は明確な意図と綿密な計画のもとに行われた戦です。
中央からの侵略者としての石田三成、いち早く秀吉に恭順の意を表した津軽為信、津軽為信の娘婿の康実のラインからの描写もあり、多面的な物語にもなっています。
東北(と沖縄)は今も昔も略奪と抑圧が続いている、そう思わせる作品でした。
大塚ホールディングスさんから株主優待をいただきました 2019年春 [株主優待]
ありがとうございます
食品・飲料の詰め合わせです。
ソイジョイ、カロリーメイト、オロナミンC、ポカリスエット、ボンカレーなどなど。
バリエーションのある優待商品は開けたときの楽しさが違います。
食品・飲料の詰め合わせです。
ソイジョイ、カロリーメイト、オロナミンC、ポカリスエット、ボンカレーなどなど。
バリエーションのある優待商品は開けたときの楽しさが違います。
キリンホールディングスさんから株主優待商品をいただきました 2019年 [株主優待]
ありがとうございます
一番搾り詰め合わせセット(一番搾り、一番搾り 黒生、一番搾り プレミアム×2)
嬉しいは嬉しいんですが、昨年と同じってのが、ねぇ。。
一番搾り詰め合わせセット(一番搾り、一番搾り 黒生、一番搾り プレミアム×2)
嬉しいは嬉しいんですが、昨年と同じってのが、ねぇ。。
三笠会館のカキフライ [お店]
池袋パルコの三笠会館でカキフライをいただきました。
https://www.mikasakaikan.co.jp/restaurant/yoshoku/ginzayoshoku-mikasakaikan/index/
岡山県邑久産の牡蠣を使用しているそうです。岡山県産は初めて食べます。
大粒の牡蠣が衣はサクサク、身はふわっとジューシーで磯の香りとクリーミーさが口いっぱいに広がります。
10個はいけます。
ご馳走様でした。
https://www.mikasakaikan.co.jp/restaurant/yoshoku/ginzayoshoku-mikasakaikan/index/
岡山県邑久産の牡蠣を使用しているそうです。岡山県産は初めて食べます。
大粒の牡蠣が衣はサクサク、身はふわっとジューシーで磯の香りとクリーミーさが口いっぱいに広がります。
10個はいけます。
ご馳走様でした。
森谷明子さん「れんげ野原のまんなかで」 [本☆☆]
図書館を舞台にした連作ミステリです。
こんな作品が出ていたのを知りませんでした。。。
「霜降-花薄」「冬至-銀杏黄葉」「立春-雛支度」「二月尽-名残の雪」「清明-れんげ野原」の5編が収められています。
秋庭市のはずれもはずれ、ススキばかりがおいしげる斜面のど真ん中に立つ秋庭市立秋葉図書館、そこが文子の仕事場だ。無類の本好きである先輩司書の能瀬や日野らと、日がな一日あくびをしながらお客さんの少ない図書館で働いている。ところがある日を境に、職員の目を盗んで閉館後の図書館に居残ろうとする少年たちが次々現われた。いったい何を狙っているのか?(第1話「霜降――花薄、光る。」)
のどかな図書館を優しく彩る、季節の移り変わりとささやかな謎。『千年の黙 異本源氏物語』で第13回鮎川哲也賞を受賞した期待の新鋭が放つ、本好き、図書館好きに捧げる受賞第1作!
(出版社HPより)
地方都市の、そのまた市街地の外れにある図書館を舞台にした「日常の謎」系ミステリです。
新人司書の文子の視点で物語は進みますが、探偵役というよりは好奇心旺盛で行動的な助手といったところでしょうか。
魅力は先輩司書の能勢や、秋葉図書館の敷地を提供した大地主の秋葉氏などのキャラクターだと思います。「いい人ばっかり」という点はあるものの、ステレオタイプでない登場人物たちは物語に地域性を与えてくれているように感じました。
ミステリとしてはやや弱い気もしますが、大雪に文子が帰宅手段をなくして秋葉氏のお屋敷(豪農イメージ)に泊まることになる「二月尽-名残の雪」は懐かしささえ覚えました。
続編も出ているようで、楽しみです。
青崎有吾さん「体育館の殺人」 [本☆☆☆]
デビュー作とは思えない出来栄えです。
密室トリックは意外といえば意外。成り行きといえばそう。。。
風ヶ丘高校の旧体育館で、放課後、放送部の少年が刺殺された。外は激しい雨で、密室状態の体育館にいた唯一の人物、女子卓球部部長の犯行だと警察は決めてかかる。卓球部員・柚乃は、部長を救うために、学内一の天才と呼ばれている裏染天馬に真相の解明を頼んだ。アニメオタクの駄目人間に──。“平成のエラリー・クイーン”が、論理に磨きをかけて読者に挑戦! 第22回鮎川哲也賞受賞作
(出版社HPより)
卓球部員の柚乃が嫌疑をかけられた卓球部長を救うために、頭脳明晰と言われている裏染天馬を探し出し、真相の解明を頼みます。
学園ミステリかと思ったら、本格ミステリでした。
地道な情報収集から緻密な推理で卓球部長の無実を証明し、さらに真犯人にたどり着く展開は読み応えがありました。
雨に降りこめられた体育館という密室トリックも、計画的に遂行されたと思われた殺人も証言と状況証拠と遺留品から次々に解き明かしていきます。
更には終章で思ってもいなかった真相が明かされます。
多くの容疑者や関係者が登場するのですが、それぞれにキャラクターが立っていて小説を読む楽しみもありました。
中でもアニメオタクで駄目人間の裏染天馬は私生活のほうはツッコミどころ満載です。アニメネタはまったくわかりませんでしたが ^^;
続編も楽しみです。