道尾秀介さん「透明カメレオン」 [本☆☆]
どたばたしたコメディかと思っていたら、最後はしんみり人間ドラマでした。
ミステリとしては弱いかな。
ラジオパーソナリティの恭太郎は、素敵な声と冴えない容姿の持ち主。バー「if」に集まる仲間たちの話を面白おかしくつくり変え、リスナーに届けていた。大雨の夜、びしょ濡れの美女がバーに迷い込み、彼らは「ある殺害計画」を手伝わされることに。意図不明の指示に振り回され、一緒の時間を過ごすうち、恭太郎は彼女に心惹かれていく。「僕はこの人が大好きなのだ」。秘められた想いが胸を打つ、感涙必至のエンタメ小説。
(出版社HPより)
物語の構成、伏線の回収などは道尾さんならではです。
また、バー「if」のマスターや常連客も個性的で作品の雰囲気に合っていました。
主人公の恭太郎がラジオパーソナリティというところがミソですね。この着眼点がいいです。
容姿は冴えませんが声はいい、という持ち味(?)を遺憾なく発揮します。
恭太郎がラジオで語るシーンが織り込まれるのが実は伏線になっています。
ただ、恵を救出するために恭太郎が家から持ちだしたグローブ、エナメル線などが予想もつかない方法で使われるのかと思いきや、案外そうでもなかったのが残念でした。
終盤で隠されていた真実が明らかになるのですが、もうひとひねりほしかったです。
それだけ道尾さんの作品に期待しちゃっているんですね。