樋口有介さん「遠い国からきた少年」 [本☆☆]
「風町サエ」シリーズ第2弾です。
『笑う少年』を文庫時に改題したそうです。
うーん、『笑う少年』のほうがよかったかな。
法律事務所で調査員として働く風町サエは、服役経験のあるシングルマザー。今回の依頼者は、アイドル候補生が店員の安売りピザ店で大儲けをした男。自殺した少女の両親から要求された一億二千万円の賠償金を減額させたいという。調査を進めるうち、ある人の過去にも迫っていくことになったサエは―。
(「BOOK」データベースより)
「オースペ」というアイドルグループがどうしても某グループを思い出します。
まあ、ビジネスモデルとしては「オースペ」のほうがえげつないんですが。
小田崎貢司の依頼を受けて調査に乗り出した風町サエは、別の依頼で小田崎貢司の過去を探ることになります。
ところが、小田崎貢司は得体の知れない男でサエに尻尾を掴ませません。
僅かな手掛かりを辿って、長崎の五島列島で真相に辿り着きますが…。
サエの語り口が樋口さん作品ならではのハードボイルドになっています。
今回も曲者揃いの登場人物たちを向こうに回してサエが活躍します。
決してすっきりとする結末ではありませんが、妥当な落としどころなんだろうな。
合間合間に登場する溺愛する一人息子との遣り取りがほっとします。
次回作も楽しみです。