柴崎友香さん「きょうのできごと、十年後」 [本☆☆]
「きょうのできごと」の十年後を描いた作品です。
「きょうのできごと、十年後」と行定勲さんの短編小説「鴨川晴れ待ち」の2作が収められています。
十年前、京都で引っ越しパーティーに居合わせた男女。それぞれの時間を生き、つきあっていたカップルは別れ、変わったり変わらなかったりしながら30代になった彼らが、今夜再会する。中沢が鴨川沿いにオープンさせたバルに集まった面々に、今日もさまざまな「できごと」が起きる。行定勲監督が、なんと、紙上映画化した書き下ろし小説「鴨川晴れ待ち」を収録。
(「BOOK」データベースより)
日常の中の他愛ないのない出来事や柔らかい関西弁の会話を親密に切り取った『きょうのできごと』はある種衝撃でした。
その10年後を描いた作品は元恋人たちの再会をベースに当時の友人たちが集まり、京都の夜に他愛ないを繰り広げます。
それぞれが10年の間に公私ともに変化があり、それでいて変わらないところもあり、中でも仲間内の距離感は変わらなくて、物語としての「起承転結」があるわけでもないのですが、なぜだか心地いいです。
主人公は関西出身ですが、東京を舞台にした作品が増えている柴崎さんですが、やはり関西を舞台にした物語のほうが近しさを感じます。