北山 猛邦さん「『アリス・ミラー城』殺人事件」 [本☆☆]
「城シリーズ」第3作です。
巧妙に仕掛けられた叙述トリックです。
犯人が明らかになったシーンで思わず読み返してしまいました。
あなたはチェスの駒になるか?プレイヤーになるか?
「著者の個性的な創作姿勢とこれからの活躍から、既に目が離せなくなっている」――千街晶之
鏡の向こうに足を踏み入れた途端、チェス盤のような空間に入り込む――『鏡の国のアリス』の世界を思わせる「アリス・ミラー城」。ここに集まった探偵たちが、チェスの駒のように次々と殺されていく。誰が、なぜ、どうやって?全てが信じられなくなる恐怖を超えられるのは……。古典名作に挑むミステリ。
(出版社HPより)
江利ヵ島に集められた探偵たち。彼らを招待したルディ、使用人の堂戸ら10人。
探偵たちは1週間のうちに「アリス・ミラー」なるものを探すために呼ばれました。
しかし、遊戯室のチェス盤に置かれた駒が消えるたびに探偵が殺害されていきます。
犯人は誰か。探偵たちが集められた理由はなにか。
叙述トリックはやや「ひっかけ」のようなところもあります。種明かしをされれば納得するものではありますが…自分の読解力のなさゆえです。
密室トリックも本来の目的がなければまだるっこしい手順ではあります。
積極的に密室の謎を解こうとしないなど探偵たちがユニークで面白かったです。ただ、ほったらかしではなく、他のキャラクターがああでもないこうでもないと謎解きに挑戦するので楽しみはあります。
それ以外にも扉が増えたり、アリス(不思議の国のアリス)が逆さまに歩いたり、人形が動いたりとあらゆるミステリ要素をぶちこんでいます。
読み応えのある作品でした。