SSブログ

大崎 梢さん「スクープのたまご」 [本☆☆]


スクープのたまご (文春文庫)

スクープのたまご (文春文庫)

  • 作者: 大崎 梢
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2018/09/04
  • メディア: 文庫



プリティが多すぎる』『クローバー・レイン』に続く「千石社」シリーズ第3弾なんだそうです。
週刊誌を舞台にしたお仕事小説です。

「取材のいろは」「タレコミの精度」「昼も夜も朝も」「あなたに聞きたい」「そっと潜って」「正義ではなく」の6編が収められています。

憧れの大手出版社「千石社」に入社し、文藝関連のPR誌で充実した日々を送っていた日向子は、突然、週刊誌「週刊千石」しかもまさかの「事件班」への異動を言い渡される。千葉の田舎から出てきた普通の女子大生だった自分が、えげつないスクープ記事・人の命がかかった事件記事を扱う「お近づきになりたくない、イメージの悪い雑誌」を作る側になろうとは! 「無理、ぜったい無理!」怯える気持ちをなんとか隠し、「日本の最前線」週刊誌部員として働き始めた日向子がはじめに任されたのは、モデル事務所の有名イケメン社長の調査と、連続殺人事件の指名手配犯人の関係者への取材だったが――
一緒に働く記者、上司、他部署の同期たち、取材で出会う一般の人、事件の渦中の人物と現実の仕事をする中、「あまりに普通」の日向子に一体何ができるのか。
深まる事件の行方と、スクープ記事の実現にむけて積み重ねる記者たちの真摯な仕事ぶり、迷いながらも記者としての意義を見出していく新人女子のリアリティがグイグイしみじみ読ませる、「プリティは多すぎる」(千葉雄大主演で、日本テレビ2018年10月ドラマ化)、「クローバー・レイン」に続く好評「千石社」シリーズ第三弾!
(出版社HPより)

「プリティは多すぎる」が少女向けファッション誌、「クローバー・レイン」が文芸誌で、今作が週刊誌の駆け出し記者が主人公です。
そう考えると同じ出版社でもまるで毛色が違うんですね。

普段読むことのない週刊誌に抱く印象は主人公の信田日向子と変わりません。
暗部を暴き立て、事件被害者にも群がり生活や過去をほじくり返し、えげつない記事を仕立て上げる。粗暴でニコチンまみれの印象です。

そんな思わず忌避してしまう記者に望まず配属された平凡で地味な20代女子が奮闘するさまが描かれます。

「週刊千石」が現実のどの雑誌をモデルにしているかは、本書の出版社から類推するとして、真摯ともいえる取材姿勢(が本当かどうかは別にして)には感銘を受けました。
フリーライターなど外部のリソースだけに頼らず正社員が事件を追う。人任せにしない。成果がでなくても、どんなに無駄足になっても徹底的に調べる。

会社のトップから現場の下々までが意識して、足を棒にして取材をすることで得られる信頼と積み重ねの成果としての記事への信憑性に繋がる…やや綺麗事と捉えられなくもないですが、ブレない信念を貫くって大変で難しくて苦しいものだよなぁ、と思いました。

あ、ミステリもしっかりやってます。

nice!(23)  コメント(0) 
共通テーマ:

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。