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星野源さん「そして生活はつづく」 [本☆]


そして生活はつづく (文春文庫)

そして生活はつづく (文春文庫)

  • 作者: 星野 源
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2013/01/04
  • メディア: 文庫



シンガーソングライターに俳優に文筆業にとマルチな才能を発揮している星野源さんのエッセイです。

俳優で音楽家、星野源はじめてのエッセイ集
携帯電話の料金を払い忘れても、部屋が荒れ放題でも、人付き合いが苦手でも、誰にでも朝日は昇り、何があっても生活はつづいていく。ならば、そんな素晴らしくない日常を、つまらない生活をおもしろがろう! 音楽家で俳優の星野源、初めてのエッセイ集。俳優・きたろうとの文庫版特別対談「く…そして生活はつづく」も収録。
(出版社HPより)

『逃げ恥』で知って、アルバムを聴いて、『おげんさんといっしょ』を見て、どんな人なんだろうと思って手に取ってみたのですが…。
くだらな過ぎる。

エッセイの内容は自然体で日々の細々としたことを書いているのですが、下ネタばかりで正直引いてしまいました。これは合わないなー。

歌のほうを楽しみます。

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五十嵐貴久「ぼくたちは神様の名前を知らない」 [本☆]


ぼくたちは神様の名前を知らない (PHP文芸文庫)

ぼくたちは神様の名前を知らない (PHP文芸文庫)

  • 作者: 五十嵐 貴久
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2018/11/10
  • メディア: 文庫



次から次へと襲い来る災難に立ち向かう少年少女たち。震災を経験し、葛藤やトラウマを抱えていた彼らの再生の物語です。

無意味で残酷な世界の前で、彼らが取り戻そうとしたもの。それは、つまり、希望だ――。
東日本大震災がきっかけで、離れ離れになった幼馴染の六人。中学三年生になったある日、東京で暮らしていたセータの下に、仲間の一人が投身自殺をしたという知らせが入る。当時の担任とともに現場である北海道の岬に向かった五人だが、その帰りに橋から車ごと落下する事故が起きてしまい……。過酷な運命に翻弄されながらも、現実を受け止め、前を向こうとする少年たちの「再生」を描いた感動の長編小説。
(出版社HPより)

引率者だった大人が早々にリタイアして中学生だけになったときに、どうなるんだろうと思ったのですが、中盤以降はやや退屈さを覚えました。

北海道の自然そのままの大地を救助を求めて歩くなかで彼らがそれぞれ抱えていた秘密を吐露するのですが、大震災を生き延びたことに比べると(比べちゃいけないのかもしれませんが)「うーん」と思ってしまうようなものでした。

ラストもあっさり。

流血した状態で一晩を過ごすって、野犬とかに襲われたりしないのかなと気になりました。

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石持浅海「二千回の殺人」 [本☆]


二千回の殺人 (幻冬舎文庫)

二千回の殺人 (幻冬舎文庫)

  • 作者: 石持 浅海
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2018/10/10
  • メディア: 文庫



死屍累々。

復讐の為に、汐留のショッピングモールで無差別殺人を決意した篠崎百代。最悪の生物兵器《カビ毒》を使い殺戮していく。殺される者、逃げ惑う者、パニックがパニックを呼ぶ史上最凶の殺人劇。
(出版社HPより)

動機はともかく、手段が滅茶苦茶です。

そもそも、愛する婚約者を失った百代の狂気はともかく、百代に協力する「五人委員会」はそれぞれの思惑はあったとしても同調する理由にはならないと思います。知性はあっても理性はないってこと? 登場人物たちには幻滅を通り越して嫌悪感さえ覚えました。

石持さんらしいミステリは欠片もありません。ただ流されていくだけ。

唯一、面白く思えたのは計画するにあたって「五人委員会」の知識を総動員して身近な素材から毒物を生成して、いかに「効率的に」殺害するかを人間行動学やマーケティングをベースにするというものでした。

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万城目学さん「バベル九朔」 [本☆]


バベル九朔 (角川文庫)

バベル九朔 (角川文庫)

  • 作者: 万城目 学
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/02/23
  • メディア: 文庫



壮大なのか、そうでないのか、よくわからないまま終わってしまった読後感が残りました。
ネバーエンディングストーリー。

カラス女、ヘンテコ店舗、夢の結末――雑居ビル管理人を最上階で待つものは。
全編ずっとビルのなか。
最狭(さいきょう)かつ最高の冒険譚!
俺は5階建ての雑居ビル「バベル九朔」の管理人をしながら作家を目指している。
巨大ネズミ出没、空き巣事件発生と騒がしい毎日のなか、ついに自信作の大長編を書き上げた。
だが、タイトル決めで悩む俺を、謎の“カラス女”が付け回す。
ビル内のテナントに逃げこんだ俺は、ある絵に触れた途端、見慣れた自分の部屋で目覚める――外には何故か遙か上へと続く階段と見知らぬテナント達が。
「バベル九朔」に隠された壮大な秘密とは?
(出版社HPより)

作家志望の主人公という自伝的要素のある生活感ある出だしは、「カラス女」の登場で一気に異世界へと吹き飛ばされます。
ただ、そこからが長かったです…。

5階建てなのにバベルという雑居ビルがバベルそのままに先の見えない高層雑居(?)ビルになり、ある仕掛けの施された店舗が続きます。
小ネタ満載でくすっとするのですが、延々と続くと飽きがくるというか。匙加減って大事ですね。

「カラス女」の目的、「バベル九朔」を建てた主人公の祖父の目論見などが明らかになり終幕を迎えるのですが、理解はできるもののわけがわからないという状態に陥ってしまいました。

万城目さんの作品に対する期待が高かっただけに残念に思ってしまいました。

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樋口有介さん「亀と観覧車」 [本☆]


亀と観覧車 (中公文庫)

亀と観覧車 (中公文庫)

  • 作者: 樋口 有介
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2018/08/21
  • メディア: 文庫



生まれも家庭環境も「わたしの責任」と受け入れる涼子は健気ですが、なんだかよくわからない展開と結末でした。
もともとは純文学を志していたという樋口さん、時々こういった作品を書きますね。

ホテルの清掃員として働きながら夜間高校に通う涼子、16歳。家には、怪我で働けなくなった父、鬱病になった母がいて、生活保護を受けている。ある日、クラスメイトからセレブばかりが集う「クラブ」に行かないかと誘われる。守らねばならないものなど何もなく、家にも帰りたくない。ちょっとだけ人生を変えてみようと足を踏み入れた「クラブ」には、小説家だという初老の男がいた。生きることを放棄しかけている親を受け入れ、人と関わらず生きる日々を夢見てきた涼子は、自らの人生に希望を見出すことができるのだろうか――。33万部超のヒットとなった『ピース』の著者が、原点に戻って描き上げた、一筋縄ではいかない一気読み「純愛」物語!
(「BOOK」データベースより)

初老の小説家の南馬という男は樋口さんをモチーフにしているそうです。
プロフィールとか、デビュー作の内容(「父親が刑事でカノジョの父親がヤクザ」)など頷けるものがありました。
62歳という年齢以上に先行きを悟った男の行動は揶揄できるものではありません。結末を読むまでは。

淡々と自分の置かれた環境を受け入れながらも、自尊心と人としての在り方を失わない涼子の姿は清々しいものがあります。
怠惰な両親との対比が一層そう思わせます。

そんな涼子が垣間見せた闇に思わず背筋が寒くなりました。

おとぎ話と捉えればいいのかもしれません。
ただ、おとぎ話のように「めでたしめでたし」で終わりそうにないその先と、けれども、外見からは想像もつかない涼子の「したたかさ」に期待してしまいます。

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新美健さん「明治剣狼伝 -西郷暗殺指令-」 [本☆]


明治剣狼伝―西郷暗殺指令 (時代小説文庫)

明治剣狼伝―西郷暗殺指令 (時代小説文庫)

  • 作者: 新美 健
  • 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
  • 発売日: 2015/12/01
  • メディア: 文庫



第七回角川春樹小説賞特別賞受賞作だそうです。
タイトルと内容が微妙に違う…。

幕府が倒れ、明治新政府が出来てから十年が経った。だが期待を裏切られた士族の不満は止まず、西南戦争が勃発。警視隊の藤田五郎と砲兵工廠の村田経芳は、内務卿・大久保利通より、西郷隆盛を助ける救出隊への参加を命じられる。だが彼らの合流前に救出隊長の旧庄内藩士・竹内が暗殺されてしまう。山県有明らの思惑も絡む救出隊の、真の目的は何なのか?近代日本が形作られていない混沌の時代、元新撰組の剣鬼と稀代の銃豪の二人が最後に下した決断とは……。
(出版社HPより)

剣狼? 西郷暗殺?
まあ、応募時のタイトル「巨眼を撃て」もちょっと違う感じがしますが。

まったく詳しくないですが、銃の構造や特性、リアルさがありました。
救出隊のメンバーも面白い面子が揃っています。藤田五郎(新選組の斎藤一の別名)、長州藩出身でアメリカ帰りの老ガンマン、船の扱いに長けた美少年、謎の女スナイパー…。ただ、キャラが弱いのが残念です。

その他、福地源一郎、陸奥宗光、河井継之助など登場、名前だけですが山県有朋や大久保利通も出てきます。

登場人物たちの思惑が絡み合い、ミステリの要素もあるものの、それも弱いです。

テーマや展開など面白いネタが満載なんですが、物語としての面白さまで至っていないように思いました。

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伊坂幸太郎さん「火星に住むつもりかい?」 [本☆]


火星に住むつもりかい? (光文社文庫)

火星に住むつもりかい? (光文社文庫)

  • 作者: 伊坂 幸太郎
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2018/04/12
  • メディア: 文庫



伊坂さんだから、期待値が高くなってしまうんですが、これは…。

「安全地区」に指定された仙台を取り締まる「平和警察」。その管理下、住人の監視と密告によって「危険人物」と認められた者は、衆人環視の中で刑に処されてしまう。不条理渦巻く世界で窮地に陥った人々を救うのは、全身黒ずくめの「正義の味方」、ただ一人。ディストピアに迸るユーモアとアイロニー。伊坂ワールドの醍醐味が余すところなく詰め込まれたジャンルの枠を超越する傑作!
(出版社HPより)

ディストピア小説です。しかし、現代はこの作品で描かれた世界よりも先を行っているように思います。それも、巧妙に。

「正義」とはなにかを考えさせられました。
国家にとっての正義、個人の抱く正義、大衆にとっての正義。それは重なることはあっても決してイコールではないはずです。

物語では「平和警察」が悪で、無実の罪を着せられそうになる人々を救う「正義の味方」が正ではありますが、「水戸黄門」のように勧善懲悪とはいきません。(そもそも「水戸黄門」が権力者側だ)
そこにこの作品の皮肉と絶望があるように思います。

ページが多く、長い割にはカタルシスは得られず、拷問の場面は苦痛だし、今いる世界と作品世界が陸続きだと気づいた暗澹さで暗ーくなりました。

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恩田陸さん「EPITAPH東京」 [本☆]


EPITAPH東京 (朝日文庫)

EPITAPH東京 (朝日文庫)

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2018/04/06
  • メディア: 文庫



EPITAPHとは墓碑銘、碑文という意味だそうです。
良くも悪くも恩田さんワールドです。

「EPITAPH東京」「悪い春」の2編が収められています。

東日本大震災を経て、刻々と変貌していく《東京》を舞台にした戯曲『エピタフ東京』を書きあぐねている“筆者K”は、吸血鬼だと名乗る吉屋と出会う。彼は「東京の秘密を探るためのポイントは、死者です」と囁きかけるのだが・・・・・・。
将門の首塚、天皇陵・・・・・・東京の死者の痕跡をたどる筆者の日常が描かれる「Piece」。徐々に完成に向かう戯曲の内容が明かされる作中作『エピタフ東京』。吉屋の視点から語られる「drawing」。
三つの物語がたどり着く、その先にあるものとは――。
ジャンルを越境していく、恩田ワールドの真骨頂!
(出版社HPより)

エピソードを積み重ねた構成、東京だけでない都市の断面が脚本家Kの視点から描かれます。

Kがたまにバーで出会う「吉屋」という謎の男が面白いです。自分を吸血鬼と語る吉屋の独白の章が挟まれるのですが、むしろこちらのほうが興が乗ります。

例によって(?)最後の最後でブッ飛びました。
『近日公開』なにがしたいのか、わかりません。ヽ('ー`)ノ

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穂高明さん「むすびや」 [本☆]


むすびや (双葉文庫)

むすびや (双葉文庫)

  • 作者: 穂高 明
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2017/03/16
  • メディア: 文庫



商店街にあるおむすび専門店を舞台にした連作短編です。

就職活動で全敗し、家業のおむすび屋を手伝うことになった結。実家の商売に子供の頃からコンプレックスを抱いてきた結だが、おむすび作りに実直に向き合う両親の姿を目の当たりにし、気持ちに変化が訪れる。「結」という名前に込められた、亡き祖母の想いも前途を温かく照らしだす―。一人の青年の新たな出発を描いた成長物語。
(「BOOK」データベースより)

おかか、梅、生たらこ・焼たらこ、鶏そぼろ、糠漬け、キムパブ、鮭、赤飯、昆布、きゃらぶき、筋子、かやく、塩むすび、と具材の多さは魅力的ですね。
こんなおむすび屋さんが近くにあったらいいなあ、と思います。

商店街の人たちとのふれあいや幼馴染や友人との友情、家族の愛情など心温まる作品ではあるのですがみんながみんないい人だけということや物語にメリハリが感じられません。

各編に主人公の結や同じ商店街の同年代を配して、廃れつつある商店街と店を継ぐことの葛藤を描いているのですが、それぞれが淡泊すぎて伝わってこないのが残念です。

作中で提示された客足の謎も未解決のままだったし。

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北村薫さん「太宰治の辞書」 [本☆]


太宰治の辞書 (創元推理文庫)

太宰治の辞書 (創元推理文庫)

  • 作者: 北村 薫
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2017/10/12
  • メディア: 文庫



「円紫さんと私」シリーズです。あれから幾年月…。

「花火」「女生徒」「太宰治の辞書」「白い朝」「一年後の『太宰治の辞書』」「二つの『現代日本小説大系』」の6編が収録されています。

新潮文庫の復刻版に「ピエルロチ」の名を見つけた《私》。たちまち連想が連想を呼ぶ。ロチの作品『日本印象記』、芥川龍之介の「舞踏会」、「舞踏会」を評する江藤淳と三島由紀夫。本から本へ、《私》の探求はとどまるところを知らない。太宰治「女生徒」を読んで創案と借用のあわいを往き来し、太宰愛用の辞書は何だったのかと遠方に足を延ばす。そのゆくたてに耳を傾けてくれる噺家、春桜亭円紫師匠。そう、やはり私は「円紫さんのおかげで、本の旅が続けられる」のだ……。
(出版社HPより)

結婚し、母となり、編集者としてのキャリアを積んだ「私」は歳をとっても旺盛な好奇心を失いません。

しかし、主人公で語り手の「私」の知的探検という色合いの強い作品で、かなりの部分を名著の引用で占められています。
日常の謎を解くには日々の生活の慌ただしさが邪魔をするのでしょうか。

「白い朝」は円紫さんとおぼしき少年が登場する短編です。
「一年後の『太宰治の辞書』」と「二つの『現代日本小説大系』」は読んでみて初めてエッセイとわかる非常に不親切なラインナップです。

これを「円紫さんと私」シリーズと呼べるのかどうか。そもそも小説と呼べるのかどうか。

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