恩田陸さん「中庭の出来事」 [本☆☆]
凝った作品です。複層的で入れ子構造で気を抜くとワケわからなくなります(なりました ^^;)。個人的に演劇に思い入れがないせいもあって、ずるずる流されてしまったというのもあるかもしれません。
「中庭の出来事」「中庭にて」「旅人たち」というパートに分かれてそれぞれが順不同に進みます。
「中庭の出来事」は、隠れ家的ホテルの中庭で新進気鋭の脚本家が衆人の前で毒殺されます。容疑者として挙がった3人の女優と彼女たちを尋問する刑事による真犯人さがしという脚本(ト書き)形式です。
「中庭にて」は、都会のビル街の中庭で女子大生が急死した事件をヒントに脚本家がその謎解きとともにストーリイを思いつきます。
「旅人たち」は、霧深い山奥で廃線となった駅舎を改築した劇場を訪れた男性2人の物語です。
それぞれのパートが並行して進みながら、いつしか接点を持つようになります。しかもパート中の途中途中で様々なエピソードが織り交ぜられていき、なにがなんだかわからなくなります(自分だけ?)。
シェイクスピアの「夏の夜の夢」が題材なのかな、他に「ロミオとジュリエット」などの台詞も出てくるのですが、演劇に興味がないのでスルー&最後はドン引き(笑)。そんな終わり方ってアリ?
ミステリの趣向ですが、ミステリなのかなあ。結局のところがよくわかりませんでした。迷宮を彷徨って、翻弄された感じ。でも決してイヤな感じではないです。そこが恩田さんの怖いところ。恩田さんの作品にたまに見られる着地点が曖昧なところはなかったのですが、結局なんだったの、というモヤモヤ感と強引とも思える幕引きに納得できない気持ちだけが残りました。
コメント 0