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樋口有介さん「あなたの隣にいる孤独」 [本☆]


あなたの隣にいる孤独 (文春文庫)

あなたの隣にいる孤独 (文春文庫)

  • 作者: 樋口 有介
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2020/12/08
  • メディア: Kindle版



表紙はもう少しどうにかならないものか。

学校へも行かず、母と二人で町から町へ渡り歩いてきた14歳の玲菜。しかし「“あの人”に見つかった」という突然の電話を最後に、母は消息を絶つ。はじめて出来た友人・周東青年とその祖父・秋吉に支えられて母の行方を追ううち、玲菜は衝撃の事実に行き当たる。「あの人」とは誰なのか。息をつかせぬ青春ミステリー。
(「BOOK」データベースより)

言い方が悪いんですが、平凡に尽きると思いました。

戸籍もなく、学校へも行かず、「あの人」から逃げるようにと東京近郊の町を転々とする玲菜とその母親。
JKカフェでアルバイトをして、リサイクルショップで買った高校の教科書で自習をする日々です。

ある日、リサイクルショップの店主の秋吉も、たまたま店舗兼住居に転がり込んでいた20代の周東と知り合って居場所を一つ見つけた矢先に母が「あの人」に拉致されたという事態が起きます。

玲菜がいたって素直で、周囲の人に助けられて、やがて真実を知るのですが、なんというのか、起伏がなく、真実がありきたりなため読み応えがなく感じました。

なんだか残念な読後感でした。

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吉永南央さん「黄色い実」 [本☆]


黄色い実 紅雲町珈琲屋こよみ (文春文庫)

黄色い実 紅雲町珈琲屋こよみ (文春文庫)

  • 作者: 吉永 南央
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2020/09/02
  • メディア: Kindle版



シリーズ第7弾です。久実ちゃん、ええ子や。

「小春日和」「颪の夜」「宿り木」「帽子と嵐」「黄色い実」の5編が収められています。

お草さんが営むコーヒー豆と和食器の店「小蔵屋」で片腕として働いている頼れる店員・久実。
なぜか男っ気のない久実にもついに春が……!?
浮き立つ店に、元アイドルの女性が店の敷地内で暴行を受けたという衝撃のニュースが飛び込んでくる。
容疑者は地元名士の息子。
久実の様子がおかしいことに気づいたお草。
そして、暴行現場で拾った「あるもの」がお草と久実を悩ませることになる。
「私、いつから加害者になったんだろう」
──心に小さな勇気の火を灯す人気シリーズ第7弾。
(出版社HPより)

お草さんシリーズは時に社会問題を取り上げ、シビアな現実を突きつけられることもあるんですが、本作は受け入れられないものでした。シビアすぎる内容でした。
目を逸らしてはならない問題ではあるのですが、個人的に抱いているこのシリーズの世界観からは大きく逸脱しているように感じました。

元アイドルで地元に帰って会社員をしているオリエが小蔵屋の敷地内で暴行被害を訴え、その相手はお草さんが就職を斡旋した名士の息子だということで、お草さんも否応もなく事件に巻き込まれていきます。

被害女性が訴えることで二次被害に遭うというのは以前からありましたが、口コミでの地域内に収まっていたものが、SNSの発達で拍車をかけているように思います。
それが地方都市であれば尚更。

どんな文明の利器も結局はそれを使う人間次第で、発明者の理想とは遠くかけ離れたあさましさや残虐さに満ちてしまうのは、それがいや増しているように感じるのは自分だけでしょうか。
(樋口有介さんなら登場人物に「社会のせいさ」とでも言わせそうです)

次作はもう少し気分が上向きになる作品を期待します。

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小林泰三さん「クララ殺し」 [本☆]


クララ殺し (創元推理文庫)

クララ殺し (創元推理文庫)

  • 作者: 小林 泰三
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2020/02/28
  • メディア: 文庫



「クララ」「車椅子」「どこかの山脈」ときたので「あのクララかな」と思ったら、おじいさんは「アルムおんじ」じゃなかった。
アリス殺し』ほどグロくはありませんが、ワケのわからない世界観は突出しています。

大学院生・井森建は、ここ最近妙な夢をよく見ていた。自分がビルという名前の蜥蜴で、アリスという少女や異様な生き物が存在する不思議の国に棲んでいるというものだ。だがある夜、ビルは不思議の国ではない緑豊かな山中で、車椅子の美少女クララと“お爺さん”なる男と出会った。夢の中で「向こうでも会おう」と告げられた通り、翌朝井森は大学の校門前で“くらら”と出会う。彼女は、何者かに命を狙われていると助けを求めてきたのだが…。夢の“クララ”と現実の“くらら”を巡る、冷酷な殺人ゲーム。
(「BOOK」データベースより)

巻末の編集部解説をみて『くるみ割り人形』をはじめとするE.T.A.ホフマンの作品群をモチーフにしていると知りました。タイトルは聞いたことがありますが…詳しくは知りませんでした。バレエで上演されるのだったか。
『不思議の国のアリス』に比べると知名度はどうなんでしょう。

前作以上に設定が突飛で複雑すぎて謎解き・犯人当てはまったく理解できませんでした。(なんで○○が××になってんの? なんで△△はそんなことできるの?)
ある意味「なんでもあり」の設定を許容できるかどうかにかかってくると思います。
自分は許容できませんでした。いや、理解できませんでした。

そして、蜥蜴のビルの会話の回りくどさも相変わらずで、ほとんど飛ばしていました。

そういえば蜥蜴のビル=井森建って『アリス殺し』で死んだんじゃ?

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石持浅海さん「殺し屋、やってます。」 [本☆]


殺し屋、やってます。 (文春文庫)

殺し屋、やってます。 (文春文庫)

  • 作者: 石持 浅海
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2020/01/04
  • メディア: Kindle版



ビジネスライクな殺し屋がターゲットの身辺調査で気になった「ちょっとした謎」を解く短編集です。
ドライすぎない?

「黒い水筒の女」「紙おむつを買う男」「同伴者」「優柔不断な依頼人」「吸血鬼が狙っている」「標的はどっち?」「狙われた殺し屋」の7編が収められています。

〈「日常の謎」の奥深さ。危険な魅力にあふれた殺し屋探偵〉
ひとりにつき650万円で承ります。
経営コンサルティング会社を経営する富澤允。普通に社会生活を送っているが、彼は一人につき六百五十万円の料金で人を殺す、殺し屋だった。
依頼を受けたら引き受けられるかどうかを3日で判断。引き受けた場合、原則2週間以内に実行する。
ビジネスライクに「仕事」をこなす富澤だが、標的の奇妙な行動が、どうにも気になる。
なぜこの女性は、深夜に公園で水筒の中身を捨てるのか?
独身のはずの男性は、なぜ紙おむつを買って帰るのか?
任務遂行に支障はないが、その謎を放ってはおけない。
殺し屋が解く、日常の謎シリーズ、開幕です!
(出版社HPより)

二重盲検法という手法に倣って、依頼者と殺し屋の間に二人の連絡係を置くことでそれぞれにメリットが生まれるというルールが目新しかったです。

謎解きは主に殺し屋の富澤と連絡係の塚原による会話によるもので、状況把握から推論を積み重ねるという石持さんらしいシチュエーションです。さらに後半は富澤の恋人のユキちゃんが加わります。(「同伴者」だけが連絡係の「伊勢殿」が主人公です)

細かな点は措いても謎そのものは簡単に推測できてしまいます。ミステリとしては弱いかな。

警察に疑われないようにしているといいながらも依頼人に富澤の銀行口座を教えて報酬を振り込ませるとか、詰めの甘さが気になるところです。

また、富澤をはじめとした仲間たちに罪の意識がまったくないこと、富澤が殺し屋となった経緯などが不明でもやもやしたものが残りました。

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恩田陸さん「錆びた太陽」 [本☆]


錆びた太陽 (朝日文庫)

錆びた太陽 (朝日文庫)

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2019/11/07
  • メディア: 文庫



近未来SFです。
いろいろと冒涜じゃないのかな。。。

原発事故で汚染された地域を巡回するロボットたちのもとに、謎の女が現れた――。
彼女の目的は一体何なのか!?

立入制限区域をパトロールするロボット「ウルトラエイト」の居住区に現れた、国税庁から派遣されたという謎の女・財護徳子。だが、彼らには、人間の訪問が知らされていなかった。戸惑いながらも、人間である徳子の命令に従うことにするのだが・・・・・・。
(出版社HPより)

ボス、ジーパン、デンカ…「ウルトラエイト」のメンバーの名前が昭和世代には懐かしく感じました。8番目の名前の「シンコ」って誰?と思ったら、いました…マニアすぎる。
また、シンコが行方不明になって一体減ったときに「ウルトラセブン」に変更しようとしたものの権利の関係で使えないというくだりは思わず噴きました。
更にはサンダーバードやワイルドセブンのネタもあり、恩田さんのサブカル愛が溢れていました。

けれど、この世界観はどうなんでしょう。原発推進への警鐘というならともかく、まだまだ避難を余儀なくされている人たちのことを考えると受け入れがたいものがありました。
コミカルでサブカル感満載なお気楽な作品として楽しめなかったのはマジメすぎるからでしょうか。

九十九山、利毛川とぼかしているのに、鹿島神宮だけはっきり書いてあるのはなぜ?

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東野圭吾さん「危険なビーナス」 [本☆]


危険なビーナス (講談社文庫)

危険なビーナス (講談社文庫)

  • 作者: 東野 圭吾
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/08/09
  • メディア: 文庫



スケベな40代のオヤジが美女に翻弄される物語です。(中らずと雖も遠からず、と思っています)

惚れっぽい独身獣医・伯朗が、新たに好きになった相手は、失踪した弟の妻だった。
恋も謎もスリリングな絶品ミステリー!
「最初にいったはずです。彼女には気をつけたほうがいいですよ、と」
独身獣医の伯朗のもとに、かかってきた一本の電話--「初めまして、お義兄様っ」。弟の明人と、最近結婚したというその女性・楓は、明人が失踪したといい、伯朗に手助けを頼む。原因は明人が相続するはずの莫大な遺産なのか。調査を手伝う伯朗は、次第に楓に惹かれていくが。
(出版社HPより)

サクサクと読めるのですが、なにか残ったかと言われると、特に何も…と思ってしまう印象しか残りませんでした。

主人公の伯朗がただただスケベで、そのモチベーションだけで失踪した弟の手掛かりを探る楓の手伝いをするというのは個人的に違和感がありました。(あくまで個人の感想です((笑)))

また、楓の言葉遣いが気になりました。「お義兄様」とか「あの方」とか不自然すぎます。
戦前の上流階級かとツッコミたくなります。

更に言えば、診察時に多用される獣医師としての豆知識が本筋に活かされるのかと思ったら、ただの豆知識だった。
それに、そんなに頻繁に診療所を臨時休業して信用が失墜しないか心配になりました。

リーマン予想とかウラムの螺旋など数学の命題が登場します。ただ、その説明はおざなりで、なぜ素数にそんなに躍起になるのかが素人にはわかりませんでした。
この辺りが東野さんの本領発揮するのでは、と密かに期待していたんですけどね。

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恩田陸さん「失われた地図」 [本☆]


失われた地図 (角川文庫)

失われた地図 (角川文庫)

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/08/23
  • メディア: 文庫



世界観など途中までは面白かったんですが、まあ、恩田陸さんらしいといえばらしい作品です。

「錦糸町コマンド」「川崎コンフィデンシャル」「上野ブラッディ」「大阪アンタッチャブル」「呉スクランブル」「横須賀バビロン」「六本木クライシス」の7編が収められています。

錦糸町、川崎、上野、大阪、呉、六本木・・・・・・。
日本各地の旧軍都に発生すると言われる「裂け目」。
かつてそこに生きた人々の記憶が形を成し、現代に蘇る。
鮎観の一族は代々、この「裂け目」を封じ、記憶の化身たちと戦う“力”を持っていた。
彼女と同じ一族の遼平もまた、同じ力を有した存在だった。
愛し合い結婚した二人だが、息子、俊平を産んだことから運命の歯車は狂いはじめ・・・・・・。
――新時代の到来は、闇か、光か。
(出版社HPより)

導入部はその世界観を含めてワクワクしました。
「裂け目」から湧き出る「グンカ」を遼平、鮎観、浩平の3人が得物を手に立ち回りするシーンは楽しく、最後は鮎観の放った「蝶」で「グンカ」を押し込めて「裂け目」を縫い合わせる結末は水戸黄門の印籠のようです。

旧軍部があった場所で起こる亀裂がなにを意味するのか、綴じなければどうなってしまうのか。
それは自然なことなのか、それとも誰かが仕組んだことなのか。
等々が明らかにされずに物語は展開します。

そこまでは面白かったです。恩田さんの想像力が横溢する世界観だと思いました。

けれど、続編が出そうな終わり方に、例えそうだとしても不親切な内容だと思いました。
いい風にいうと含みを持たせた。悪い風にいうと投げ出した。そんな印象です。

ナショナリズムの高揚に乗じて「裂け目」が生じるという設定がなにを意味するのか、「グンカ」に「軍靴」を連想してしまい、作家が時代に不穏な空気を感じ取っているのではと思いました。

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吉田修一さん「橋を渡る」 [本☆]


橋を渡る (文春文庫)

橋を渡る (文春文庫)

  • 作者: 吉田 修一
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2019/02/08
  • メディア: 文庫



うー、なにが言いたかったのかさっぱりわからない作品でした。

「春-明良」「夏-篤子」「秋-謙一郎」「そして、冬」「エピローグ」という章立てになっています。

新次元の群像ドラマ、ここに誕生!
ビール会社の営業課長、明良。部下からも友人からも信頼される彼の家に、謎めいた贈り物が?
都議会議員の夫と息子を愛する篤子。思いがけず夫や、ママ友の秘密を知ってしまう。
TV局の報道ディレクター、謙一郎。香港の雨傘革命や生殖医療研究を取材する。結婚を控えたある日……
2014年の東京で暮らす3人の選択が、未来を変えていく。
(出版社HPより)

「春」「夏」「秋」は2014年の出来事が登場人物たちの日常とともに描かれます。
そして「冬」は70年後の世界が描かれます。

サラリーマン、都議会議員の妻、テレビ局のディレクターとつなぐ章は群像劇といえるかもしれません。それぞれが心配事をかかえ、ディレクターの謙一郎に至っては取り返しのつかないことを起こしてしまいます。

どうなるんだ、とページを繰ったら70年後に飛んでいる謙一郎が見た世界。

格差、現代の奴隷制度などを描こうとしているのかもしれませんが、なんだかとっ散らかった印象しか残りませんでした。
(一応、エピローグでそれまでの様々を回収しているんですが「それじゃない」感が)

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柏井壽さん「京都下鴨なぞとき写真帖」 [本☆]


京都下鴨(しもがも)なぞとき写真帖 (PHP文芸文庫)

京都下鴨(しもがも)なぞとき写真帖 (PHP文芸文庫)

  • 作者: 柏井 壽
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2018/07/09
  • メディア: 文庫



ガイドブックを小説にしてみました、といったような、京都の観光名所とグルメ(実在のお店が登場)に謎解きを絡ませた短編集です。
半日で読み終わってしまうほど、お手軽に読めます。

「大原のもみじ」「雪の千本鳥居」「天神さんの梅」「円山の枝垂れ桜」「糺の森の恋」の5編が収められています。

彼のカメラに写るのは、四季の風景と美味しいもの、そして迷える人の心……。『鴨川食堂』で人気の著者による京都の名所、グルメ情報満載の新スタイル小説誕生!
京都の老舗料亭〈糺ノ森山荘〉の八代目当主・朱堂旬は、ふだんは冴えない風貌で、自転車にまたがる姿はどうみても下働きの従業員。ところが彼は、人気写真家・金田一ムートンというもう一つの顔をもっていた――。秋の大原、どこか寂しげな着物姿の女性が向かうのは山中の来迎院。彼女にカメラを向けたムートンがファインダー越しに見抜いた真実とは?
(出版社HPより)

うーん、登場人物に厚みが感じられませんでした。
主人公はやたらとスーパーマンのように描かれますが、全く素性が知れません。番頭頭(ばんとうがしら)は元貴族の家柄で一人だけ色の違う法被を着ていますが、支配人らしい仕事っぷりが垣間見えません。(まあ、営業中の描写がないのでしっかり締めているのでしょうが) 主人公の妻で朱堂家の跡取りの女将は外商と称して常に不在だし。

こんなお店が実在したら従業員が次々辞めていくか、やりたい放題になるように思います。

謎解きも軽めのもので、『鴨川食堂』シリーズほどは人情味も感じなくて物足りないです。

朱堂旬が入るお店は実在するのですが、彼が当主を務める老舗料亭の糺ノ森山荘は実名じゃないんですね。まあ、下鴨神社近くにあるということで想像はつきますが、了承は得ているのでしょうか。

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恩田陸さん「消滅 -VANISHING POINT-」 [本☆]


消滅 VANISHING POINT (上) (幻冬舎文庫)

消滅 VANISHING POINT (上) (幻冬舎文庫)

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2019/01/24
  • メディア: 文庫



消滅 VANISHING POINT (下) (幻冬舎文庫)

消滅 VANISHING POINT (下) (幻冬舎文庫)

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2019/01/24
  • メディア: 文庫



閉鎖された空間で入管に足止めされた男女の中にテロリストがいると告げられ、探し出せと言われ…石持浅海さんの作品ではありません。

超大型台風接近中の日本。国際空港の入管で突如11人が別室に連行された。時間だけが経過し焦燥する彼ら。大規模な通信障害で機器は使用不能。その中の一人の女が「当局はこの中にテロ首謀者がいると見ている。それを皆さんに見つけ出していただきたい」と言った。女は高性能AIを持つヒューマノイドだった。10人は恐怖に戦おののきながら推理を開始する。
北米からの帰国者に感染力の高い新型肺炎の疑いが生じる。連行は細菌兵器ゆえの隔離、ヒューマノイド対応だったのか。
テロ集団はなぜ「破壊」でなく「消滅」という用語を使うのか。様々な憶測が渦巻くが依然、首謀者が誰か摑めない。やがて孤絶した空港に近づく高潮の危険。隔離された10人の忍耐と疲労が限界を超え「消滅」が近づいた時、爆発音が!
(出版社HPより)

バラエティー番組でVTRの途中や後で出演者が「なにを見せられてたんだ」という呟きともツッコミともとれるコメントがありますが、この作品もそんな感じです。

シチュエーションは石持浅海さんが得意とするミステリなんですが、そこは恩田陸さん、推理は一向に進みません(笑)
しかも上下巻。長い。

小ネタ満載で、しまいにはテロリスト探しなんてどこかに行っちゃう…。登場人物は多いけれど誰も記憶に残りません。
しかも結末はこれかよーって言いたくなるもの。

まあ、恩田さんらしいといえばらしいんですが。

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