道尾秀介さん「風神の手」 [本☆☆]
「予想だにしていなかった」「そんなつもりじゃなかった」ような出来事が歴史や人生を変えてしまうことってあります。
それを「風神の手」に例えて物語を紡ぎだすのは道尾さんならではです。
「心中花」「口笛鳥」「無常風」「待宵月」の4編が収められています。
読み進めるごとに反転する出来事の〈意味〉
その鍵を握るのは、一体誰なのか――
遺影専門の写真館「鏡影館」。その街を舞台に、男子小学生から死を目前に控えた老女まで、様々な人物たちの人生が交差していく――。
数十年にわたる歳月をミステリーに結晶化する。
(出版社HPより)
ある小さな町の、遺影専門の写真館で行き会った人たちの口から語られる故人や当人の出来事がそれぞれの短編を通してエピローグへと収束していきます。
いくつもの出来事と人々の思いが絡まりあい、ときに干渉し、影響を与えながら数十年に亘って年月を積み重ねていきます。
変容するもの、変わらず根底にあるものが決してドラマチックではないですが、「そうあるもの」として物語られます。
「もしも…」を想像しながら読み進めるのも楽しいかもしれません。
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