北森鴻さん「支那そば館の謎」 [本☆☆☆]
- 作者: 北森 鴻
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2006/07/12
- メディア: 文庫
続けざまに北森さんのミステリを読みました。
シリアスな冬狐堂シリーズに対して、こちらはコメディタッチの短編集です。
「不動明王の憂鬱」「異教徒の晩餐」「鮎踊る夜に」「不如意の人」「支那そば館の謎」「居酒屋 十兵衛」の6編。
主人公の有馬次郎はかつて関西一円を荒らし回り’怪盗’の名をほしいままにしていましたが、とある出来事から足を洗い、京都嵐山にある名刹・大悲閣千光寺の寺男となっています。
渡月橋など観光名所が近くにありながら、嵐山の中腹にあるため参拝客もまれな貧乏寺の寺男の有馬次郎が毎度事件に巻き込まれ、住職や仲間の力、裏社会のツテや昔の技を使って事件を解決してゆきます。
アリバイトリックあり、密室殺人ありと、いろんな手法が出てくるので読み飽きません。
京都府警の税金泥棒こと碇屋警部や、自称「京都みやこ新聞のエース」折原けいなど脇役もコメディミステリには必要なキャラが立っています。「暴走列車」折原けいと(折原けい曰く「けだものアルマジロ」)有馬次郎の掛け合いは面白いです。
また、有馬次郎に重要な示唆を与える住職もなにやらいわくありげな人物で、続編ではその辺りが明かされたりするのでしょうか。
北森さんらしく、主人公行きつけの寿司割烹「十兵衛」で出される料理の品々がとてもおいしそうで、「こんな店が近くにあったら」とまたしても思ってしまいました。
ちなみに大悲閣千光寺ですが、実在するお寺だそうです。
http://www.eonet.ne.jp/~umearasi/daihikaku.html
京都を旅行した折には訪ねてみたいと思います。
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