朝井リョウさん「何者」 [本☆☆☆]
就活生の抱える悩みやら友情やらを描いた青春ものかと想像していたら、ラストの衝撃度とダークサイドの深みが凄いです。
第148回直木賞受賞作です。
就職活動を目前に控えた拓人は、同居人・光太郎の引退ライブに足を運んだ。光太郎と別れた瑞月も来ると知っていたから――。瑞月の留学仲間・理香が拓人たちと同じアパートに住んでいるとわかり、理香と同棲中の隆良を交えた5人は就活対策として集まるようになる。だが、SNSや面接で発する言葉の奥に見え隠れする、本音や自意識が、彼らの関係を次第に変えて……。直木賞受賞作。
(出版社HPより)
拓人、光太郎、瑞月、理香、隆良の5人の大学生の群像劇です。
初めはスマートななりをしていたのが、就職活動を通して浮かび上がる彼らの本音、葛藤、欺瞞といったものが次第に明らかになっていく様は読んでいて痛々しくて「うわ、やめてくれ」と思ってしまうほどです。
物語の鍵となり、彼らの本音を暴き出すのがSNSです。
このツールを理解し、使いこなし、表現できなければここまでのリアリティは生まれなかったと思います。そこに同時代性を感じますし、朝井さんでなければ書けなかった物語ではないかと思いました。
なんだか世の中がどんどん息苦しくなっていくように感じた作品でもあります。
映画も公開されました。
http://nanimono-movie.com/
キャラクターに合った若手俳優がキャスティングされているように思います。
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