平谷美樹さん「採薬使佐平次」 [本☆☆☆]
初読みの作家さんです。
「採薬使」という言葉に興味を持ち、読んでみました。
大川で斬死体が上がった。吉宗配下の御庭番にして採薬使の植村佐平次は、探索を命じられる。その死体が握りしめていたガラス棒を手がかりとして、事件を追うことに。一体何のために使っていたのか。同じ頃、西国では蝗害が広がり、稲作に深刻な被害をもたらしていた。採薬使の仲間を、原因究明のため江戸を発たせた佐平次だったが―。2つの事案に隠された、驚くべき真相が明らかに。享保の大飢饉の謎に挑む、新解釈時代小説。
(「BOOK」データベースより)
八代将軍 徳川吉宗が創設した採薬使という役職があったそうで、全国を旅して薬草等を採取しつつ、駒場に薬草園を作って栽培をしていたそうです。
で、全国を巡るってなると諸大名の動向を探るなんてこともできるわけで、お庭番を兼ねているという物語になっています。
冷夏と虫害によって西日本を中心として凶作となり100万人近くが餓死したという享保の大飢饉と絡めて幕府の転覆を図る陰謀を明らかにするストーリイは想像を超えた面白さでした。
吉宗と対立するのは歴史好きの方であればご存知の人物です。
史実を踏まえながら、作家の想像力を張り巡らせる構成力と筆力に物語を堪能しました。
シリーズ化されているようなので、是非読んでみたいと思います。
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