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安部龍太郎さん「冬を待つ城」 [本☆☆]


冬を待つ城 (新潮文庫)

冬を待つ城 (新潮文庫)

  • 作者: 安部 龍太郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2017/09/28
  • メディア: 文庫



骨太な歴史小説です。
途中から高橋克彦さん小説のような展開に。奥州(東北)がそうさせるのか?

小田原の北条氏を滅ぼし、天下統一の総仕上げとして奥州北端の九戸城を囲んだ秀吉軍。その兵力はなんと15万。わずか3千の城兵を相手に何故かほどの大軍を擁するのか。その真意に気づいた城主九戸政実は、秀吉軍の謀略を逆手に取り罠をしかける。あとは雪深い冬を待つのみ――。跳梁する間者、飛び交う密書、疑心暗鬼、そして裏切り。戦国最後にして最大の謀略「奥州仕置き」を描く歴史長編。
(出版社HPより)

九戸4兄弟のキャラクターは絵に描いたようなステレオタイプに思えます。
智勇兼ね備えた嫡男の政実、豪勇の次男 実親、ひねくれ者の三男 康実、そして僧から還俗した四男の政則の視点で物語が語られます。

秀吉の行った「奥州仕置き」の真の目的を見切った政実による反乱は単に北東北の勢力争いにとどまらず、秀吉が全国統一後になにを目指しているのかを認識していたという前提で進められる物語は明確な意図と綿密な計画のもとに行われた戦です。

中央からの侵略者としての石田三成、いち早く秀吉に恭順の意を表した津軽為信、津軽為信の娘婿の康実のラインからの描写もあり、多面的な物語にもなっています。

東北(と沖縄)は今も昔も略奪と抑圧が続いている、そう思わせる作品でした。

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