乾緑郎さん「機巧のイヴ: 新世界覚醒篇」 [本☆☆]
シリーズ第2弾です。100年後の新大陸に舞台を移して機巧人形の伊武を巡る騒動が描かれます。
「あなたは、どなた?」少年が彼女の冷たい体を抱きしめるとき、運命の歯車が廻り始める――。1892年、万博開催を翌年に控え、空前の賑わいを見せる新世界大陸(ムンドゥス・ノーヴス)の都市・ゴダム。万博の利権を巡る人々の争いが繰り広げられる夜、パビリオン「十三層」の頂上で、機巧人形(オートマタ)・伊武(イヴ)が永の眠りから目覚めた。機巧と人間。本当の“心”を持つ者は誰か? 未曾有の世界に魂が震えるSF伝奇小説の傑作!
(出版社HPより)
日本を模した日下國から舞台を新大陸のゴダム(アメリカのシカゴ?)に移しています。
前作に比べると、多少のスケール感はあるものの、SF━特にスチーム・パンクとしての面白さは半減したように思いました。
その意味では前作からの期待感がしぼんでしまいます。
また、前作は人間が伊武に寄せる想いとは対照的に伊武はあくまで機巧人形だったものが、なんだか妙に人間臭くなってしまって、進化なのかもしれませんが、物足りなさを覚えました。
伊武が主人公というよりは、伊武を巡る争奪戦が描かれます。古き良き探偵小説で活劇とでもいいましょうか。ただ、そちらはスケール感は感じませんでした。
次作があるような結末です。1892年の100年後は…。
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