道尾秀介さん「スタフ」 [本☆☆]
「スタフ」とは”ブドウ球菌”のことだそうです。その意味するものを考えながら読むのもいいかもしれません。
移動デリを経営するバツイチでアラサーの夏都。借金を返しながら、海外赴任中の姉の息子・智弥を預かる生活はぎりぎりであった。ある日突然、中学生アイドル・カグヤのファンたちに車ごとさらわれた夏都は、芸能界の闇に巻き込まれていく。カグヤとファンの暴走に思われた事件は、思いもよらぬ結末を迎える。
(「BOOK」データベースより)
バツイチの夏都が甥の智弥と暮らす日々は生活上の悩みに溢れています。けれども、それは日常的なものだったのですが、不意にやってきたトラブルは非日常なものでした。
流されるままに夏都が巻き込まれる事件は、けれどもどんでん返しが予期できたものでインパクトに欠ける結末でした。
ただ、人間ドラマとして読むと、仕草や表情の変化の描写が微細で的確です。
智弥やカグヤのクールさと賢明さと、対照的な幼さの裏にあるものを見抜けるかで物語の面白さが変わってくると思います。
メッセージの強さや込められたテーマに割に物語が軽くてバタバタした感があり、バランスが悪いと思いました。
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