SSブログ

乾緑郎さん「機巧のイヴ 帝都浪漫篇」 [本☆☆]


機巧のイヴ 帝都浪漫篇 (新潮文庫)

機巧のイヴ 帝都浪漫篇 (新潮文庫)

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2020/01/29
  • メディア: 文庫



「機巧のイヴ」シリーズ第3弾です。伊武の存在がどんどん薄くなっていく…。

浪漫(ロマン)とモダニズムの花咲く1918年。美しき機巧人形(オートマタ)・伊武(イヴ)は、女学校の友人・ナオミとともに訪れた猫地蔵坂ホテルで、ある男と運命の出会いを果たす。恋の始まりを予感したそのとき、幸せな日常を引き裂く大震災が襲う。時代の波に翻弄され、廻り出す運命の歯車。そして物語の舞台は、大陸の新国家・如洲(にょしゅう)へ――。心を持たない人形が問いかける、愛とは、魂とは。日本SF小説史に残る圧倒的傑作。
(出版社HPより)

前作で活躍したM・フェルや轟八十吉が伊武とともに日下國に帰国して数十年が経った世界が描かれます。
前半は大正浪漫・大正モダニズムのような世情(作中に「モボ」という言葉も出ます)の中でフェルの娘で女学生のナオミがある男と運命的な出会いをします。伊武が自転車で天府高等女学校に通うなど『はいからさんが通る』みたいです。(見たことないけど)
そして、前半の終盤に起こった出来事とともに後半の物語は一転して不穏で暴力的で狂気じみた世界へと変転します。

どうなるのか、という展開にハラハラするというよりも、広げた風呂敷をどう畳むのかという着地点が気になりページを繰りました。
その意味では終盤に繰り広げられるアクションシーンはハリウッド映画の二番煎じのようでガッカリしました。安直すぎると感じました。

パラレルワールドの日下國ですが、アナキストや首都下の憲兵隊長などモデルとなる人物の登場とともに物語のオリジナリティや、なによりスチームパンクっぽさが失われてしまったのも残念です。

ただ、唐突で美しいラストは余韻に浸るに十分でした。
続編はあるんでしょうか。

nice!(17)  コメント(0) 
共通テーマ:

nice! 17

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。