小林聡美さん「聡乃学習」 [本☆☆☆]
小林聡美さんのエッセイ集です。広い意味で「学習」することを描いた気持ちのいい作品です。
間もなく50歳を迎えようとした頃にスタートし、5年に渡って書き続けたエッセイが、ついに書籍化。
トーベ・ヤンソンや石井桃子さんの暮らしから「ひとりで暮らすこと」を考え、美空ひばりさんと同い年になったことに感慨し、体調に不安を覚えホットヨガや健康体操教室に参加、憧れの山歩きに挑戦したり趣味の俳句を楽しみ、長く一緒に暮らした愛猫を看取り……。
歳を重ねても、無理せずに、でも興味のあることに飛び込みながら、軽やかに丁寧にひとりの日常を送る様子を綴った、くすっと笑えて清々しいエッセイ集。
(出版社HPより)
もっぱらフィクションばかりでエッセイはあまり読まないんですが、小林聡美さんの書く文章は肩の力の抜けた、それでいてお気楽なだけでないキャリアに裏打ちされた視点でのものが多く、手に取ります。
友人や知人、仕事仲間に囲まれて持ち前の明るさとユーモアを発揮しつつも、独り暮らしの寂しさや、老描との別れといったシリアスな出来事を挟み込み、メリハリがきき、記憶に残る作品になっています。
改めて小林さんの才能を感じた作品でした。
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