井上靖さん「本覚坊遺文」 [本☆☆☆]
大作家に対して’さん’付けはおこがましいかな…。
静謐の本でした。
千利休に10年仕えた本覚坊が、利休の死後に師の死の意味を考えつづける、
というもの。利休の自死から30年後に迎える本覚坊自身の死までに、利休を
知る多くの茶人と語らい、死の意味を問い、考える。やがて語り合った茶人たちも
この世を去っていく。
茶道とは、茶人における死とは、が本覚坊の自問を通して語られます。それは
あたかも利休や古田織部や織田有楽斎などの茶人の言葉として語られます。
茶道に詳しくないので、ありようが理解しづらかったのですが、茶道というものを
遊びから昇華させた時点で利休と連なる茶人たちの運命も定まったように思え
ました。
電車の中で、カフェで読んだのですが、どこで読んでも静かな作品でした。
コメント 0