畠中恵さん「ぬしさまへ」 [本☆☆☆]
江戸を舞台に大店の一人息子で体の弱い若だんなと周囲の妖(あやかし)たちが活躍する
「しゃばけ」(http://blog.so-net.ne.jp/tomo_all/2006-09-14-1)の続編です。
今回は6つの短編で、読みやすかったです。より推理色が強くなったように感じられたのは
短編のせいでしょうか。
よくよく考えてみたら体の弱い若だんなって、安楽椅子探偵の系統になるんですね。情報収集は
岡っ引きの親分と鳴家たち妖たちにさせて、頭の中で推理を組み立てる。
今回は人情味のある作品が並びました。若だんなの異母兄の話や手代で大妖の仁吉のとんでも
なく長い慕情の話など。
「しゃばけ」はスケールが大きいというか、アクション満載(?)で読み応えがありましたが、今回は
むしろ人間の怖さ・醜さが描かれていたりしながらも最後は心にしみわたる結末が多く、エンタメ
という楽しみよりは秋の夜長にじんわりとした気分に浸るにいい作品だと思いました。
新書で続編が3冊でているのですが、早く文庫化してほしいものです。(文庫でしか読書できない
生活のため)
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