SSブログ

米澤穂信さん「春期限定いちごタルト事件」 [本☆☆☆]

春期限定いちごタルト事件

春期限定いちごタルト事件

  • 作者: 米澤 穂信
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2004/12/18
  • メディア: 文庫

片山若子さんの表紙だけで手に取ってしまいました。いつもながら淡くて可愛くてそれでいて
どこか凛としている絵が好きです。最近は星新一さんの文庫の表紙も手がけているみたいです。

表紙だけで読み始めたのですが、内容もなかなかに面白かったです。
晴れて高校に入学した小鳩くんと小佐内さん。二人は小市民たるべく互恵関係を維持している
というなんてネガティブな、とも思える指向。けれどもそうするには訳があって、小鳩くんの
それは本書でおいおい明らかにされていきます。
才気走る小鳩くんは小市民たらんとするのですが、校内で起こるちょっとした事件の謎解きに
巻き込まれてしまいます。いわゆる「日常の謎」系なんですね。軽妙な会話や小鳩くんの
独白も読んでいてにやっとしてしまいます。
けれども、謎の解明が必ずしもハッピーエンドをもたらすわけではないところがこの作品に
深みを与えているような気がします。タイトルも、作中に出てくるスイーツ類もいかにも
甘ったるそう(ケーキバイキングのところでは、「うえっぷ」と思ってしまいました (^^ゞ )
なんですが、結末はほろ苦いものです。知らなきゃよかったということは往々にしてあるもの
です。
気になるのは小佐内さんの謎です。忍者のように気配を消して相手の背後に回りこむことが
できる(ゆえに小鳩くんの肘打ちをくらってしまうのですが)特技の持ち主はなぜに小市民を
目指すことにしたのか、執念深さというキーワードが語られるもののそこに至った理由は
説明されないままでした。続編の「夏期限定トロピカルパフェ事件」で書かれるのでしょうか。
楽しみです。未刊ですが、「秋期限定」「冬期限定」も読みたいです。


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。