若竹七海さん「製造迷夢」 [本☆☆]
いささか常軌を逸した事件に関わる刑事・一条と人や物に触れるだけで、そこに残っていた「残留
思念」を読み取ることのできる超能力者・美潮とを主人公とした5編の短編ミステリです。
若竹作品らしいちょっとブラックでビターな風合いは相変らずです。短編ゆえか、キャラクターの
書き込みが足りないと感じたのと、挿入される独白がアクセントになりつつもリズムを外させる
ような気がして読み進むという気持ちが盛り上がらなかったのが残念です。
ただ、美潮の能力を発揮しつつもしっかりとミステリのツボを押さえているので読む楽しみは
あります。
できれば長編で、二人の過去を含めたキャラの掘り下げをしたものを読みたいと思いました。
そして、二人の関係はどこへいくのか、も楽しみです。
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