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北森鴻さん「写楽・考―蓮丈那智フィールドファイル〈3〉」 [本☆☆☆]


写楽・考 (新潮文庫 き 24-3 蓮丈那智フィールドファイル 3)

写楽・考 (新潮文庫 き 24-3 蓮丈那智フィールドファイル 3)

  • 作者: 北森 鴻
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2008/01/29
  • メディア: 文庫



蓮丈那智シリーズ第3弾です。今回も民俗学の楽しさと事件解決の面白さの両方を楽しめる作品になっています。
「憑代忌」、「湖底祀」、「棄神祭」、表題作の「写楽・考」の4つの短編(「写楽・考」はボリュームからいって中篇かもしれません)が収録されています。どれも民俗学テーマとして(どこまで学術的なのかはわかりませんが)非常に興味深いものばかりでした。

フィールド・ワーク(現地調査)で赴く先で必ずといっていいほど殺人事件に巻き込まれるのはどうなんだ、という気がしないでもないですが、ストーリイが始まんないんじゃしょうがない。

お馴染みの異端の民俗学者で東敬大学助教授 蓮丈那智とその助手の内藤三國に加えて、前作から助手として加わった佐江由美子と大学の事務方である「狐目の男」こと高杉がメインキャラクターとなりますが、語り手は内藤三國のままで、彼のユーモアたっぷりの語り口はこの物語に絶対に欠かせないものだと思います。
また、今回は冬狐堂シリーズの主人公 宇佐見陶子が重要な役回りで出ています。冬狐堂シリーズはまだ手がつけられていないのですが、近いうちに読んでみたいと思います。

ミステリとしての出来映えは腑に落ちないところもあるのですが、民俗学的な謎と絡めて展開されるせいか、キャラクターの出来のよさなのか不満が残るほどにはなりません。

なお、「湖底祀」の民俗学的考察である鳥居の話は鯨統一郎さんの「新・世界の七不思議」中の「ストーンヘンジの不思議」での考察と比較してみると面白いかもしれません。

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leilang_taotao

シリーズ3作目で、何かマンネリ化してると思いました。
by leilang_taotao (2008-05-31 22:12) 

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