樋口有介さん「刺青白書」 [本☆☆]
柚木草平シリーズ第5弾です。やや趣向を変えているので、番外編とみる向きもあるようです。
三人称形式ですが、物語の大半は文化系メガネ女子である女子大生の三浦鈴女の視点から語られます。その他を柚木草平が語るというもの。それでも、洒脱というか軽妙な言い回しはそのままですので、十分楽しめました。
その分、いままで表現されなかった柚木草平がどんな外見なのかが描かれていて、少し気になります。(警官時代からそのままだとしたら、かなり異質だったかも)
渋谷にある女子大に通う三浦鈴女は、空想癖と野暮ったい格好と渋谷から自宅のある向島まで歩いて帰ってしまうほどの健脚の持ち主です。そんな鈴女の中学時代の同級生2人が立て続けに殺されます。中学時代は目立たなかった彼女たちは6年の間に、1人はアイドルに、1人はテレビ局のアナウンサーに就職が内定していました。日をおかずに隅田川付近で殺されたことで根拠がないながらも繋がりを感じ取った鈴女は調査を始めます。
一方、アイドル殺害に関する雑誌記事の仕事を依頼された柚木も並行して調査を開始します。柚木は二人の右肩に小さな薔薇の刺青があったことを突き止めます。
過去を遡った二人は中学時代に起きたいじめと自殺騒動に行き着きます。6年前の出来事と、連続殺人事件とはどう繋がるのか。
意外な犯人(ミステリはたいていそうですが)と意表を衝く真相は期待を裏切りません。
中学時代に想いを寄せていた左近万作に対する鈴女の女心とロマンス(?)の行方も楽しみです。
2008-06-13 23:44
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