大崎梢さん「晩夏に捧ぐ (成風堂書店事件メモ(出張編))」 [本☆☆]
晩夏に捧ぐ (成風堂書店事件メモ(出張編)) (創元推理文庫)
- 作者: 大崎 梢
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2009/11/10
- メディア: 文庫
「書店ミステリ」の第2弾(番外編ですが)ということで期待して読んだのですが、肩透かしをくらった気分です。
成風堂書店の店員の杏子は、元同僚で帰郷した美保から手紙をもらいます。信州の老舗書店「まるう堂」こと宇津木書店で幽霊騒ぎが起きていること、20数年前に起きた作家殺人事件が関係していること、それらを解決してもらいたいことが手紙には書かれていました。
かくして杏子とアルバイトの多絵は夏の信州に向かいます。
元書店員ということで、大崎さんの書店への愛着は読んでいて十分伝わってきます。老舗書店の重厚な作りやそれとは対照的な洗練された郊外のモール型書店の描写と、そんな書店作りに打ち込む経営者・書店員の熱意は感激してしまいました(涙)
(冒頭でアリバイ確認に来た刑事が「書店に2時間もいられるものか?」と疑問を持っているシーンがありましたが、丸1日だって平気だぞ)
それとは反対に、展開やミステリについては納得できないものが残りました。
『配達赤ずきん』が書店系日常の謎を書店員ならではの推理で解き明かす短編だったのに対して、長編ではダレが感じられましたし、トリックや真相や真犯人当てといった推理も少し無理があるような気がしました。
とはいえ魅力的な舞台と登場人物が揃っているので次回作に期待です。
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