畠中恵さん「ちんぷんかん」 [本☆☆☆]
「しゃばけ」シリーズ第6弾は表題作を含む5作の短編集です。
今までの、若だんなの謎解きと兄やたち妖の活躍というパターンから少し離れたストーリイ展開となっていますが、魅力は相変わらずです。
「鬼と小鬼」、「ちんぷんかん」、「男ぶり」、「今昔」、「はるがいくよ」の5編です。若だんなが死にかけて賽の河原に行ったり、妖と坊主の算術合戦、陰陽師の操る式神と妖との戦い、桜の花びらの精との出会いと別れなどバラエティに富んでいます。
若だんなの周囲に起きる不思議を解決するというお馴染みのミステリもありますが、兄の松之助の縁談話や幼馴染の栄吉が修行のために三春屋を離れるなど、周囲の変化が描かれます。それは番外編ともいえる「はるがいくよ」の導入部でもあります。
少し系統の違う「はるがいくよ」は誰にも訪れる別れをファンタジックに描いた切ない作品です。
今までのシリーズを振り返ってみると、若だんなが少しずつながら成長しているのを感じますし、物語も変化してきているのに気づきます。
今後の展開についてひそかな不安を感じながらも、この先どんな出来事が待ち受けているのか楽しみです。
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