東川篤哉さん「学ばない探偵たちの学園」 [本☆☆]
『5』で気力を使い果たしたので、ユルい系を…ということで東川さんの小説を読みました。でも、気は抜けないんですよね。
国分寺市にある私立鯉ケ窪学園は芸能クラスもある部活の盛んな高校です。転校した赤坂通は、無難な文芸部の部室を訪れたのですが、部室にいた部長の多摩川と部員の八橋に入部を申し込むとなぜか探偵部に入部したことになってしまいます。それは、部室のない探偵部が、使っていなかった文芸部部室を占拠していたのでした。晴れて(?)赤坂通は探偵部員となってしまったのでした。
日々「本格ミステリとは?」を論じる多摩川と八橋と、わやなままの赤坂の前に事件が起きます。
アイドルを盗撮しようと忍び込んだカメラマンが保健室で死体で発見されたのです。出入り口は鍵がかけられ、窓は開いていたものの雨でぬかるんだ地面には足跡ひとつありませんでした。すなわち密室です。
駆けつけた祖師ヶ谷警部、烏山刑事が捜査する中で、今度は音楽教師が密室で死体で見つかり、売り出し中のアイドルが失踪します。
探偵部は犯人を突き止めることができるのか?
期待に違わずユルいです。でも密室トリックはしっかりしてますので、ミステリとしても十分楽しめます。
ただ、コメディに関してはスベりまくりな感があります。祖師ヶ谷警部、烏山刑事にしても。『烏賊川市』シリーズや『館島』に比べると空回りな感じがします。
それでもコメディとミステリが両立している小説は少ないので貴重です。文庫点数が少ないので、ユルい系ストックが…文庫化を望みます。
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