有川浩さん「塩の街」 [本☆☆]
残念ながら、合いませんでした。世界観は好きですし、面白いんですけど、違和感みたいなものをずっと感じていました。フォーカスの当たり方かなぁ。否定するものではないんですけど。
表題作と、「塩の街、その後」という4つのエピソード集で構成されています。
宇宙からの飛来物が東京湾に堕ちます。塩化ナトリウムの塊のそれは世界のいたるところにも堕ちます。やがて、人々は「塩害」に侵されはじめます。次々と塩となってしまうのです。 そんな世界で、秋庭という男と真奈という少女が人通りの途絶えた都心で暮らしていました。 そんな二人の前に現れる人々。なかでも入江は秋庭の「お友達」と称して'隠遁'していた秋庭をある計画に引き入れます。
「塩の街、その後」はタイトルそのまま、その後を描いたものです。
どうしても、伊坂幸太郎さんの『終末のフール』を思いだしてしまいます。人類滅亡というシチュエーションに追い込まれた人間を描く、という意味で。方向性は違ってきますけれど。
初めの遼一やトモヤが出てきた2つの章は、その意味では好みだったんですけどね。
もちろん、その後が悪いというわけではありません。
世界を救うためでなく一人の女性を救いたい、という秋庭と、たった一人が手にはいるなら世界が滅びてもかまわない、という真奈。間違っていないし、真っ当な感覚なんだけれど、こうも真正面から大上段に構えられると読んでいて気恥ずかしくなってきます。間違っていない分、なんだか世界を矮小化しているようで違和感を感じてしまったのでした。
「自衛隊」三部作として「空」「海」があるそうですが、どうしようかな…。
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