北村薫さん「紙魚家崩壊」 [本☆☆]
ミステリ'風'短編集です。というのは、純粋(ってなんだ、というのは置いといて)なミステリではないと思ったからです。味付け、とでもいえばいいでしょうか。「日常の謎」系を期待されると肩透かしをくいます。
「溶けていく」、「紙魚家の崩壊」、「死と密室」、「白い朝」、「サイコロ、コロコロ」、「おにぎり、ぎりぎり」、「蝶」、「俺の席」、「新釈おとぎばなし」の9編です。
「溶けていく」は想定外の怖い話でした。じわじわと蝕まれていく感覚がなんともいえず病みつきになりそうです。
「紙魚家の崩壊」、「死と密室」は明智小五郎とホームズを想起しましたが、なんだかなぁという終わり方。昔懐かしい少年少女向け読み物的な物語です。
「新釈おとぎばなし」は北村さんの博学ぶりと現代風にアレンジしたカチカチ山が面白いです。
読みやすく、1編が短いのでちょっとした時間に読むのに合うと思います。
コメント 0