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中村航さん「絶対、最強の恋のうた」 [本☆☆]


絶対、最強の恋のうた (小学館文庫)

絶対、最強の恋のうた (小学館文庫)

  • 作者: 中村 航
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2008/11/07
  • メディア: 文庫



タイトルからどっぷり恋愛ものかと思っていたんですが、バランスのいい恋愛小説でした。

「スクランブル」「突き抜けろ」「春休み」「最強の恋のうた」「富士に至れ」という章立てで、男女の視点から物語が進みます。

大野君は大学生です。友人の坂本君とつるむ日々に、彼女と出会います。そして付き合い始めます。学校で、週末に会って話し込む二人。しかし、このまま突き進んでしまうことに危うさを感じた彼女がストップをかけます。大野君はそれを受け入れます。そして、電話は週に3回まで、会うのは週末だけというルールを決めます。
大野君の章では、週末のデートと、火曜日に坂本君と坂本君の先輩の木戸さんとの鍋を食う日常が描かれます。
一方、彼女はボーリング場のアルバイトで中学時代の同級生と再会し、ボーリング場のアルバイトが描かれます。

と書くと、なんてことのない日常が淡々と描かれるだけのようですが、「木戸さん」という特異なキャラで物語に起伏が生まれていると思います。「木戸さん」がいなければ退屈な物語になっていたのではないかと思います。

これは、中村さんの他の作品にも言えることですが、言い回しにひねった表現がされていることが多いです。
特に女子目線のときに変わったというか、ソフトな語り口になっていて、それが場の雰囲気にマッチしていると思います。例えば、ボーリングのピンが倒れる、ぱこっ、ぱからん、という音など。

迷走&暴走する男子と、着実に歩みを進める女子の淡々とした恋愛を描いた、読後感のすっきりした作品でした。

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