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森見登美彦さん「宵山万華鏡」 [本☆☆☆]


宵山万華鏡 (集英社文庫)

宵山万華鏡 (集英社文庫)

  • 作者: 森見 登美彦
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2012/06/26
  • メディア: 文庫



宵山とは有名な祇園祭の前日祭のことだそうです。行ってみたいんですが人混みは苦手なんだよなぁ。
めくるめく幻想的な世界が現出します。

「宵山姉妹」「宵山人魚」「宵山劇場」「宵山回廊」「宵山迷宮」「宵山万華鏡」の6編が収録された連作短編集です。

バレエ教室に通う小学生の姉妹、宵山の観光に来た会社員、謎のアルバイトに誘われる大学生、従姉妹の失踪の過去を引きずる会社員の女性、画廊勤務の男性、と主人公を変えながら宵山の同じ一夜を様々なタッチの物語が描かれます。
小学生の姉妹が離ればなれになり迷い込んだ宵山の祭りで出会う赤い浴衣の少女たちの正体は…「宵山姉妹」「宵山万華鏡」
京都に暮らす友人の乙川を頼って宵山観光に来た主人公が巻き込まれる「けったいな」事件とその楽屋裏で繰り広げられる計画とは…「宵山人魚」「宵山劇場」
会社員の千鶴はなにかに憑かれたような叔父を気にかけていました。それは15年前に失踪した従姉妹に関わっているようでした。一方、画廊に勤める柳は父の遺品を巡って画家(千鶴の叔父)と宵山の夜に邂逅します…「宵山回廊」「宵山迷宮」

「宵山姉妹」←→「宵山万華鏡」、「宵山人魚」←→「宵山劇場」、「宵山回廊」←→「宵山迷宮」が対になっています。対になっている物語で登場人物が被るのは当然として、その他の物語でも登場人物が交錯するので「こんな人があんなところで」といった発見があって楽しめます。しかも作品によって--というより主人公の視点と物語のタッチによって見方が違って見えるのが凝っていました。

しっとりした幻想譚からちょっと怖いホラー、森見さんっぽいヘタれ大学生のドタバタものと趣向も違っています。
毛色の違う物語を読めるというのも短編の魅力です。それも宵山という同じ舞台で違う角度から眺められるという凝り方も堪りません。

夜は短し歩けよ乙女』で京大を席巻したゲリラ演劇「偏屈王」までリンクされているとは想像もしなかったです。

今年の宵山は終わってしまいましたが、来年の宵山は行ってみたいです。

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