村上春樹さん「東京奇譚集」 [本☆☆☆]
久々に村上春樹さんを読みました。(といっても発売は2007年ですけど)
「偶然の旅人」「ハナレイ・ベイ」「どこであれそれが見つかりそうな場所で」「日々移動する腎臓のかたちをした石」「品川猿」の5編が収められています。
肉親の失踪、理不尽な死別、名前の忘却……。大切なものを突然に奪われた人々が、都会の片隅で迷い込んだのは、偶然と驚きにみちた世界だった。孤独なピアノ調律師の心に兆した微かな光の行方を追う「偶然の旅人」。サーファーの息子を喪くした母の人生を描く「ハナレイ・ベイ」など、見慣れた世界の一瞬の盲点にかき消えたものたちの不可思議な運命を辿る5つの物語。
(出版社HPより)
「奇譚集」というタイトルだけあって、どれも不思議な物語になっています。
「品川猿」以外は現実味のある日常の風景の中に突如として現れる不思議さが描かれます。
「品川猿」は異質さというか異次元さが際立っていて、それでいて違和感を覚えないところが村上さんらしいと思いました。
長編だとメッセージやらテーマやら、読んでいる最中にも小難しく考えてしまって物語に没頭できないこともあるのですが、この短編集は純粋に物語を楽しめました。
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