乾くるみさん「塔の断章」 [本☆☆]
ミスリードのオンパレードです。ちょっとあざといかな。
誰が彼女を妊娠させたのか。そして、彼女はなぜ――死んだのか。作家・辰巳まるみが書いた小説『機械の森』のゲーム化を企画するスタッフ8人が湖畔の別荘に集まった。その夜に悲劇は起こる。社長令嬢・香織が別荘の尖塔から墜落死しのたのだ。しかも彼女は身籠っていた……。最後の最後に分かる、意外な真相。大ヒット作『イニシエーション・ラブ』より前に発表された「タロット・シリーズ」の原点! 乾マジック炸裂!
(「BOOK」データベースより)
『塔の序章』に始まって、本編が続き、『塔の終章』で終わる構成になっています。本編も細かくバラバラになっていて構成面での「断章」でもあります。
犯人の絞り込みはできるはずなのに、巧妙に仕込まれたミスリードと仕掛けによって到達できない工夫がされているのはさすがです。
ただ、叙述トリックを思わせる導入部と、めまぐるしく変わるエピソード(辰巳まるみと和実)の意味するところが明らかになった終幕で一気に脱力感がありました。
『イニシエーション・ラブ』で感じた衝撃には至らなかったです。
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