大崎梢さん「クローバー・レイン」 [本☆☆☆]
お仕事小説です。本好きとしては、文芸編集者の「いい本をこの手で世に送り出したい」という気持ちがひしひしと伝わってくる内容でした。
作家=小説を書く人。文芸編集者=小説のためになんでもする人。 本を創るために本に携わる人たちのまっすぐな思いに胸が熱くなる一作。
(出版社HPより)
上の出版社の惹句は素晴らしいと思います。簡潔に物語の要点を押さえつつも、感動ポイントをアピールしています。
順風満帆できた若手編集者がたまたま見つけた小説原稿。作家は「過去の人」と見られていて出版は望み薄。
それを熱意と周囲の協力で出版にこぎつけます。
いくつもの壁が主人公の彰彦に立ちはだかりますが、「いい本を出版したい」という情熱が周囲を動かしていきます。大手出版社だからこそありそうな組織の壁、ビジネスとしての「売り物」に対する尺度や評価を乗り越えていくさまはお仕事小説ならではの醍醐味にあふれています。
出版業界は厳しいと聞きます。
だからこそ、いい本を出したいという気概に満ちている彰彦にエールを送りたいと思います。
気になったのは「某書店」という言い回しがよく出たこと。フィクションではこういう表現ってどうなのかな。
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