畠中恵さん「えどさがし」 [本☆☆☆]
「しゃばけ」シリーズ外伝です。
ミステリ度はそれほどでもないですが、ながーい時間軸で、しかもばらばらな物語なのは妖ならでは。
「五百年の判じ絵」「太郎君、東へ」「たちまちづき」「親分のおかみさん」「えどさがし」の5編が収録されています。
時は流れて江戸から明治へ。夜の銀座で、とんびを羽織った男が人捜しをしていた。男の名は、仁吉。今は京橋と名乗っている。そして捜しているのは、若だんな!? 手がかりを求めて訪ねた新聞社で突如鳴り響く銃声! 事件に巻き込まれた仁吉の運命は――表題作「えどさがし」のほか、お馴染みの登場人物が大活躍する全五編。「しゃばけ」シリーズ初の外伝。
(出版社HPより)
本シリーズは病弱な若だんなが周囲で起こる事件や謎に安楽椅子探偵ばりに推理を働かせるというものですが、外伝は若だんなの生まれる前の時代から明治の時代までなので若だんなは登場しません。
毎度お馴染みの、佐助、仁吉、河童の親分の禰々子、寛永寺の寛朝、日限の親分が登場します。
人とは寿命の長さの違うお馴染みの妖たちは存命(?)で、様々な騒動に巻き込まれます。(あ、妖が見える僧の寛朝や日限の親分は人間か)
このシリーズの面白いところは、人とは尺度の違う妖たちの言動の突飛さで、本作では謎解きよりもそちらの楽しさが感じられます。
「えどさがし」の仁吉はなんだか切なくて、彼ら妖たちにとって若だんなの存在の大きさが伝わってくる物語でした。この作品が本作のナンバーワンです。
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