成田名璃子さん「東京すみっこごはん」 [本☆☆☆]
初読みの作家さんです。書店でタイトルに惹かれて読んでみました。
グルメ小説ではなく、心温まる人情小説でした。
「いい味だしてる女の子」「婚活ハンバーグ」「団欒の肉じゃが」「アラ還おやじのパスタ」「楓のレシピノート」の5編が収められています。
商店街の脇道に佇む古ぼけた一軒屋は、年齢も職業も異なる人々が集い、手作りの料理を共に食べる“共同台所”だった。イジメに悩む女子高生、婚活に励むOL、人生を見失ったタイ人、妻への秘密を抱えたアラ還。ワケありの人々が巻き起こすドラマを通して明らかになる“すみっこごはん”の秘密とは!? 美味しい家庭料理と人々の温かな交流が心をときほぐす連作小説!
(出版社HPより)
空家となった元小料理屋を舞台に、空家に集まった人たちがくじ引きで残されたレシピをもとに手料理を振舞います。
一話ごとに変わる語り手はそれぞれに問題を抱えています。
抱えた問題が現代的でシビアで重いとは感じますが、その分だけ物語の終わりにカタルシスを得ることができます。
最後の最後に空家と残されたレシピの謎が明らかになり、思わずじわっとなりました。
ほっこりする読後感です。
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